『デッド・ドント・ダイ』
2019年 スウェーデン・アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ジム・ジャームッシュ
撮影 フレデリック・エルムス
音楽 スクワール
出演 ビル・マーレイ/アダム・ドライバー/ティルダ・スウィントン/クロエ・セヴィニー/スティーブ・ブシェーミ/ダニー・グローバー/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/ロージー・ペレス/イギー・ポップ/サラ・ドライバー/RZA/キャロル・ケイン/オースティン・バトラー/ルカ・サバト/セレーナ・ゴメス/トム・ウェイツ
《解説》
今夜、最強のゾンビたちが目を覚ます
アメリカの田舎町に突如現れたゾンビと、町にたった3人の警察官の戦いを軸に、群像劇が展開される、ジム・ジャームッシュが新境地としてゾンビ映画に挑んだ話題作
鬼才ジム・ジャームッシュ作品常連のビル・マーレイ、「パターソン」に続き参加となるアダム・ドライバーを主演にメガホンをとったゾンビコメディはひと味違う
《物語》
アメリカの田舎町センターヴィル、そこの小さな警察署で働く署長のクリフ・ロバートソンと巡査のロニー・ピーターソンはいつも住民の些細なトラブル処理に追われている
農夫のフランクが森に住む男ボブに鶏を盗まれたと訴え、クリフとロニーがボブの様子を見に来たが、クリフがボブに注意勧告だけして法律を守れと言って森を後にした
クリフは鶏泥棒の話も怪しい、フランクは白人至上主義者のクズ野郎だからだ、ボブとはかれこれ50年以上の知り合いだ、森に住んではいるが人家を襲ったことはなかったからだ
最近は何だかおかしな事ばかりで夜になっても日は沈まず、時計やスマホが突然壊れたりスマホやテレビの電波の調子も悪い、ロニーは何か変だと、それは森に住むボブも感じていた、蟻がまるでこの世の終わりのように右往左往している
ニュースではエネルギー企業による極地での水圧破砕工事が地球の自転に影響を与えている、わずかなズレが日照時間を狂わせている、町ではペットや家畜の失踪や攻撃行動が報告されている
署では女性マロリーの遺体が置いてあり、ロニーと女性巡査のミンディが見ていたがクリフがやって来て2人は帰宅し、その日はクリフが宿直だった
その夜に月が不気味に輝き墓場から男女2人のゾンビが蘇り、町の唯一のダイナーの入り、店員2人を襲いその肉を食べ、置かれてあったコーヒーを飲んで出て行った
次の日の朝、ダイナーの常連客のハンクの通報で駆け付けたクリフはその酷い死体を目にしてショックを受ける、そこに遅れてやってきたロニーは躊躇しながらもゾンビの仕業だと
その夜、月の光が更に強くなり、墓場から大勢のゾンビが蘇り、町へと向かって行く
《感想》
エネルギー企業が極地で地球の自転を変えてしまうほどの工事をした事で日が沈まなくなったり、地球を飛び交う電波の調子が悪くなったり、挙句にゾンビが蘇ったりします
でも本作のゾンビは人肉だけでなくコーヒーを飲んだり、ボソッと言葉を話したりと今までのゾンビ映画の常識が覆されてます、これは無個性なゾンビではなく個性を持っているようです
監督のジム・ジャームッシュは消費主義社会を痛烈に皮肉っているようです、それでいてゾンビ映画の元祖のジョージ・A・ロメロへのオマージュも捧げています
主人公のクリフ・ロバートソンを演じるのはビル・マーレイ、3人しかいない警察署の署長をしていていち早く、町の異変を感じて捜査を開始するんです
もう1人の主人公のロニー・ピーターソンを演じるのはアダム・ドライバーで、事件をすぐにゾンビだと考え、ゾンビ化する前に死体を切り刻む性格の持ち主です
そして3人目の巡査のミンディ・モリソンを演じるのはクロエ・セヴィニー、大人しい性格ですがゾンビにはヒステリックに叫びます、ゾンビが現れる前はロニーと良い感じかなと思ったんですけどね
もう1人の重要人物の最近やって来た葬儀屋のゼルダ・ウィンストンを演じるのがディルダ・スウィントン、家の中は畳で空手着を着て日本刀を振り回しています、それでゾンビを斬りまくります
何故かよそからやって来た若者3人組の1人が世界的歌姫のセレーナ・ゴメスなんです、なんでか彼女はこんなゾンビ映画に出たのでしょう?単純に好きなのかな?
途中で寄ったガソリンスタンドの店主のホラー映画の知識に感激します、ちなみに乗っている車がジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に登場する車と同じです
最近のゾンビ映画はゾンビの誕生の理由が絶対にいるようです、昔はそんな野暮な事は言わなかったんですけどね、勝手に蘇ってたっていいやん(笑)
鬼才ジム・ジャームッシュが作り上げたオンリーワンのゾンビ映画 それが『デッド・ドント・ダイ』です。
ラストは驚きの展開とゾンビ相手にはそうなるなっていうラストでした