バトル・ロワイアル | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『バトル・ロワイアル』

 

 

 

 

 

2000年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 深作欣二

 

原作 高見広春

 

脚本 深作健太

 

撮影 柳島克己

 

音楽 天野正道

 

 

 

出演 藤原竜也/前田亜季/山本太郎/栗山千明/柴咲コウ/安藤政信/高岡蒼佑/塚本高史/岩村愛/美波/山村美智子/深浦加奈子/宮村優子/諏訪太郎/片岡礼子/ビートたけし

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

今日はみんなに、ちょっと殺し合いをしてもらいます

 

中学生が殺し合うというセンセーショナルな内容で物議をかもし、社会現象を巻き起こした高見広春の同名小説を、「仁義なき戦い」の巨匠・深作欣二が映画化した青春バイオレンスアクション

 

大人の自信を取り戻すために可決された新世紀教育改革法「BR法」それは、全国の中学3年生から選ばれた1クラスの生徒たちを無人島に集め、最後のひとりになるまで殺し合いさせる残酷なサバイバルゲームだった

 

ビートたけし演じる中年教師をとおして居場所のなくなった大人の憤りと寂しさも十分伝わってくる、情けない嫌われ者教師から冷徹殺人司令官、そしてラストに本当の心情を見せる中年男への変化をビートたけしが圧倒的な存在感で演じている

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

新世紀の初め、ひとつの国が壊れた、完全失業率15%突破、失業者一千万人、不登校生徒八十万人、相次ぐ少年犯罪、自信を失くした大人は子供を恐れ、やがてひとつの法案が可決された、新世紀教育改革法【通称BR法】

 

 

年に一度、全国の中学校の中から選ばれた1クラスにコンピューター管理された脱出不可能な無人島で制限時間の三日間に最後のひとりになるまで殺し合いをするという法律である

 

今回、選ばれたのは岩城学園中学3年B組の生徒たちだった、クラスの生徒の七原秋也の母は小学4年で家を出て行った、中学の入学式の日に父親が自殺

 

全てが狂っていたがどうすればいいかなんて分からない、どんなに世界が狂っていても俺たちは毎日を楽しんでいた、そしていつの間にか義務教育も終わろうとしていた

 

 

それは楽しい修学旅行のはずだった、しかしバスの中でいつの間にか眠ってしまい、目が覚めた場所は分からない、首輪を着けられ、しかも見た事のない生徒が2人いた

 

 

そこに現れた元担任のキタノの指導のもと食料と水、そして武器がそれぞれに渡された、全国の中学3の中から本年度のBR法に選ばれた事を説明して最後の1人になるまで殺し合うようにと告げる、そしていよいよゲームが開始される、

 

 

そんな中、秋也は同じ孤児院で育った親友の国信慶時が以前にナイフで刺したキタノに首輪を爆破されて見せしめで殺されるのを目の前で目撃

 

 

極限状態に追い込まれた生徒たちは様々な行動に出る、秋也は慶時がほのかに想いを寄せていた中川典子を守るために武器を持って戦うことを決意する

 

 

自分から志願してゲームに参加する転校生の桐山和雄は生徒を殺戮をする、同じく自らゲームに参加した転校生の川田章吾と秋也と典子は行動を共にして脱出しようとする

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

この作品はさすがに衝撃的でしたよ、中学生が殺し合うという内容が物議をかもし大きな話題となりました、衆議院でも本作の規制を求める運動が行われて文部大臣に見解を求められる質疑が行われた、マスコミにも取り上げられて関心を呼び、R15の規制が作られた作品です

 

 

この過激な内容が賛否両論を呼び、社会現象を巻き起こし、第43回ブルーリボン賞作品賞と藤原竜也が新人賞を受賞、多数の映画賞の受賞やノミネートを果たしました

 

 

高見広春の同名小説を、名匠・深作欣二が実写映画化、メイキング映像では若いキャストに厳しくかなりしごいてましたね、高齢とは思えないエネルギッシュな演出でした

 

やはり教師キタノを演じるビートたけしの存在感が凄いですよ、ヤクザでもなんでもない普通の教師なんですから、それが学校でお尻を刺されたりするんですから

 

 

主人公の七原秋也を演じるのが藤原竜也で中学の入学式で父親が自殺、そんな先が真っ暗になる展開から始まるんです、まともじゃないなってここで感じましたね

 

 

秋也が守ると決めた中川典子を演じるのは前田亜季、秋也と行動を共にするのですが2人の武器は変な物ばかりで逃げるしかないんです、そんな時に転校生の川田章吾と成り行きで一緒に逃げるんです

 

 

川田章吾を演じるのが山本太郎で当時は25歳で中学生の役だと笑ってました、同じく転校生で殺しまくる桐山和雄を演じるのが安藤政信でこちらも25歳でした

 

 

相馬光子を演じるのが柴咲コウ、この映画で彼女を知ったのですが凄まじかったです、その見た目もちょっと怖そうなんですけど光子の容赦なさは桐山和雄と並びます

 

 

翌年に公開された「バトル・ロワイアル 特別編」では光子の幼少期を追加撮影されて光子の過去に光を当ててこんなに凄まじい少女の誕生をより明確にしています

 

 

千草貴子を演じるのが栗山千明、こちらも男の股間を刺しまくる凶暴さを見せますが光子との対決で辛うじて逃げるのです、この作品を観るに知っていた数少ない役者でした

 

 

当初は千草貴子役は柴咲コウで、相馬光子役は栗山千明だったそうです、オーディションもそれで勝ち進んで行ったそうですが、撮影前に深作欣二監督の判断で変更となったそうです、スタッフは反対したのですが出来上がった作品を観て納得したそうです

 

とにかく中学生が殺し合いをする設定は当時はセンセーショナルで東映も尻込みしてしまったほどです、でも蓋を開けてみれば30億円を超える大ヒットとなり特別編と続編が製作されました

 

 

 

 

 

 

ねえ、友達殺したことある? それが『バトル・ロワイアル』です。

 

 

 

 

 

オープニングで流れるベルディのレクイエムが素晴らしい効果を生み出していますね、深作欣二監督のセンスの素晴らしさが分かります