『ブレードランナー』
1982年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 リドリー・スコット
原作 フィリップ・K・ディック
脚本 ハンプトン・ファンチャー/デヴィッド・ピープルズ
撮影 ジョーダン・クローネンウェス
音楽 ヴァンゲリス
出演 ハリソン・フォード/ルドガー・ハウアー/ショーン・ヤング/エドワード・ジェームズ・オルモス/M・エメット・ウォルシュ/ダリル・ハンナ/ウィリアム・サンダーソン/ブライオン・ジェームズ/ジョー・ターケル/ジョアンナ・キャシャディ/ジェームズ・ホン/ロバート・オカザキ
《解説》
2020年、レプリカントは人類に宣戦布告!
フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原作に、近未来を舞台に展開するアンドロイドたちの物語を描いたSFサスペンスで、その卓越した近未来描写により、多くのファンを持つカルト作品
2019年、惑星移住が可能になった未来、レプリカントと呼ばれる人造人間が謀反を起こし、地球に侵入、レプリカント専門の捜査官ブレードランナーのデッカードは追跡を開始する
熱心なファンによって支持され、カルト化したSFハードボイルド・アクション、監督のリドリー・スコットの映像センスは絶賛され、その人気を不動のものとした
《物語》
21世紀初め、アメリカのタイレル社は人間そっくりのネクサス型ロボットを開発、それらは“レプリカント”と呼ばれた、特にネクサス6型レプリカントは体力も敏捷さも人間に勝り、知力もそれを作った技術者に匹敵した
レプリカントは地球外基地での奴隷労働や他の惑星の探検などに使われていたが、ある時反乱を起こして人間の敵に回った、地球に戻ったレプリカントを処分するためにブレードランナー特捜班が組織された
ロサンゼルス、2019年11月、環境破壊が進んだ地球では酸性雨が降り注ぎ、人々は人口過多の都市での生活を強いられており、富裕層は新天地を求めて他の惑星に移住している
レプリカント専門の捜査官ブレードランナーのデッカードは、開拓中の惑星からスペースシャトルを奪い乗組員を皆殺しにして地球へとやってきた4体のレプリカントの捜索と処分を依頼される
脱走したレプリカントはネクサス6型で人間と見分けるのは卓越した技術を持つ熟練の捜査官でも困難とされている、ネクサス6型を開発・製造をしたタイレル社に赴き、タイレル博士を訪ねた
レプリカントは製造されて数年経つと感情が芽生えるので予防策として4年の寿命しか与えられていない、タイレル博士の秘書のレイチェルもレプリカントだった
レプリカントのリーダー格のバティは自分たちの寿命を知るためにはタイレル博士に聞くしかない、そのために女のレプリカントのプリスをタイレル社の技師のセバスチャンに接近させる
その頃デッカードはもう一体の女レプリカントのゾーラがクラブのダンサーとして潜入している事を突き止めるが、彼女に殺されそうになるが逃走したゾーラを追い詰めて射殺した
その直後に男のレプリカントのリオンに襲われて殺されそうになるがレイチェルに助けられる、レイチェルはデッカードと出会った事で自分がレプリカントだと知り、タイレル社から逃亡して追われる身となっていた
バティはセバスチャンを脅してタイレル博士の部屋へと行き、自分たちの寿命を延命するように要求するも不可能だと断られてタイレル博士を惨殺し、セバスチャンも殺害
知らせを受けてセバスチャンのアパートに到着したデッカードはそこでプリスを発見、プリスの攻撃に翻弄されるが銃弾を数発撃ち込んで射殺した
そこにバティが戻り、デッカードと激しい戦いが始まる、バティはデッカードを圧倒するが、戦いの中で自分の寿命が尽きようとしているのを悟る、デッカードは遂にバティに追い詰められ絶体絶命となるのだが…
《感想》
とにかく大好きな作品でもう何回観たことか、久しぶりに観たら近未来だと思っていたら2019年の話しだったんです、さすがにビックリでしたよ(笑)
フィリップ・K・ディックの原作は1968年なので2019年は想像も付かない未来でしょうね、さすがに地球以外の惑星への移住どころか空飛ぶ車もありませんけどね
シド・ミードが作ったビジュアルは原作のフィリップ・K・ディックも絶賛しています、しかし完成した本作を観る前にフィリップ・K・ディックは亡くなっています
しかし原作小説と本作はかけ離れていて別物だと思います、それでもこの光と影を上手く使った、「エイリアン」のリドリー・スコットの手腕が光ります
SFハードボイルドなのですけど公開当時は興行的に惨敗してしまいました、しかしソフト化されてファンが急増、その独特の映像美においらも魅せられました
デッカードを演じるのは、「レイダース 失われたアーク」のハリソン・フォード、これまでの明るいアクションと打って変わってダークな印象の作品は受けなかったのかも
腕利きのブレードランナーと言えども素手でレプリカントを倒せるわけはありません、デッカードは銃でレプリカントを処分していくんです、それが女のレプリカントでも容赦はしません
プリスを演じるのがダリル・ハンナ、プリスは慰安用のレプリカントなんです、それでも体の柔軟さと敏捷さでアクロバティックにデッカードを追い詰めます
ジョアンナ・キャシャディ演じるゾーラも暗殺用に再プログラミングされて、クラブのダンサーとして潜伏しているんです、それがまた刺激的なファッションで目のやりどころに困ります(笑)
そしてレプリカントのリーダー格のバティを演じるのがルドガー・ハウアーでとにかく強い、それでいて自分たちが人間が想像も出来ないような物を見てきたとデッカードに話すんです
自分の寿命が近くなると体の自由が利かなくなるのか手のひらに釘を刺して貫通させて動くようにします、その描写は本当に痛そうなんです、他の血の出るシーンはどれも痛そうでした
レイチェルを演じるのがショーン・ヤングで自分を人間だと思っていたレプリカントなんです、記憶はタイレル博士の娘の記憶を移植されていてるんです、それをデッカードが見破った事で姿を消すのです
それに本作は稀に見るバージョン違いの多い作品でもあります、まずは劇場版ですがこれはリサーチで不評だったためにナレーションを追加と暴力シーンの削除、エンドロールにデッカードとレイチェルが車で逃げるハッピーエンドを追加、「シャイニング」のオープニングの別テイクを借用しています、次に完全版は劇場版で削除された暴力シーンを復活させたものです
そして公開10周年を記念してディレクターズカット最終版はナレーションの削除とハッピーエンドの削除、デッカードが見るユニコーンの夢のシーンを追加しています
更に公開25周年を記念して再びリドリー・スコットによって編集されたファイナル・カット、映像がVFXにより画質が鮮明になり、ゾーラの射殺シーンをジョアンナ・キャシャディを再起用して新撮影して修正、暴力シーンの復活、他にも細かく変わっています
オープニングすぐのデッカードがうどんを食べるシーンでデッカードが4つ注文するんですけど、「2つで十分ですよ~」って言う店主との会話のシーンが忘れられません
そしてこれは日本人スタッフのいたずらだと思いますけど、プリスとセバスチャンが出会ったシーンの後ろの壁に「セン〇リ」や「オ〇〇コ」と落書きされています、邦画ならあり得ないですね(笑)
リドリー・スコットの生み出したこの発明から逃れることは出来ない それが『ブレードランナー』です。
今回のレビューにあたって「オリジナル劇場版」と「ファイナル・カット版」を観ました

























