マチネの終わりに | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『マチネの終わりに』

 

 

 

 

 

2019年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 西谷弘

 

原作 平野啓一郎

 

脚本 井上由美子

 

撮影 重森豊太郎

 

音楽 菅野祐悟

 

 

 

出演 福山雅治/石田ゆり子/伊勢谷友介/桜井ユキ/木南晴夏/風吹ジュン/板谷由夏/古谷一行

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

東京、パリ、ニューヨーク、世界のどこにいても、あなたを想う それだけで、今日を生きられる

 

東京、パリ、ニューヨークを舞台に音楽家とジャーナリストの愛の物語を描いた芥川賞作家・平野啓一郎の同名ベストセラー小説を福山雅治、石田ゆり子主演で映画化

 

運命に翻弄されながらも、六年の歳月を歩んだ男女の姿を二人が感情豊かに演じる、蒔野役を福山雅治、洋子役を石田ゆり子がそれぞれ演じ、監督は「容疑者Xの献身」「昼顔」の西谷弘

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

2013年11月、パリ在住のジャーナリストの小峰洋子は友人であるレコード会社社員の是永慶子に誘われて慶子が担当している天才クラシックギタリストの蒔野聡史のツアーファイナル公演を観に行った

 

 

満員の観客を感動させる演奏をしたが蒔野自身は演奏に満足しておらず、楽屋に閉じこもり荒れていた、マネージャーの三谷早苗が関係者やファンを帰らせた

 

そこに慶子が挨拶に来て蒔野はドアを開けて顔を出した、そこで慶子に紹介された洋子はアンコールが素晴らしかった、それに蒔野がギターを始めるきっかけとなった映画「幸福の硬貨」の影響だが、洋子の母の再婚相手がその監督のイェルコ・ソリッチだった

 

 

しかも洋子は20年前のニューヨークで行われた蒔野のデビューコンサートを観ていたと告白し、感動した蒔野は洋子を打ち上げの場に招いた

 

そこで蒔野はアンコール以外は満足できる演奏はなかったと洋子に吐露、そこで早苗も交えて酒を飲み、祖母の葬儀のために帰国したこと、祖母の死因が洋子が子供の頃にままごとのテーブルに使っていた実家の庭にある大きな石に誤って頭をぶつけたと話した

 

 

蒔野は、「楽しいままごとの記憶が祖母の死によって楽しいままではいられない、人は変えられるのは未来だけだと思っているけど未来は過去も変えている、変えられているとも言えるし、変わってしまうとも言える」と洋子を励ました

 

 

帰り際タクシーを待つ洋子に蒔野は、「楽屋では最低の夜だと思っていた」、洋子は「未来から見ればこの夜も違って見えるかもしれない」、そう言って2人は名残惜しく別れた

 

2人はお互いに惹かれ合うものがあり、6年間の愛と葛藤が描かれる

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

大人の恋愛を観たくなってちょうど最適なのが本作なのではと思って観てみました、やはり若者の恋愛映画とは違って展開は比較的静かでしたね

 

 

世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史も、パリの通信社に勤務するジャーナリストの小峰洋子も2人とも40代、この年代の2人なんですがたった3度会っただけで深く愛し合った人なんです

 

もし2人が普通の職業だったなら最初の出会いで惹かれ合うなら愛し合ったでしょうね、でも2人は世界中で仕事をしているので惹かれ合うものの自分の生活に戻るんです、それに洋子には婚約者がいますしね

 

主人公の蒔野聡史を演じるのはアーティスト、俳優として第一線で活躍する福山雅治、天才ギタリストながら自分自身の演奏に満足が出来ずに自身を見失う蒔野を演じています

 

 

小峰洋子を演じるのは映画やドラマなどあらゆるジャンルで活躍する女優の石田ゆり子、彼女はもう50歳を過ぎたのにこの美貌に若さですよ、本当に美魔女です

 

 

洋子の婚約者で日系アメリカ人のリチャード新藤を演じるのが伊勢谷友介、アメリカの経済学者ですが洋子に隠れて金髪のアメリカ人女性と浮気をしているんです

 

蒔野は世界で活躍するギタリストですが苦悩していて弾けなくなるんです、その頃に洋子はパリの勤務先でテロに遭遇してしまうんです、蒔野や慶子も連絡が取れなくて心配するんです

 

 

洋子の友人でレコード会社に勤め、蒔野の担当の是永慶子を演じるのが板谷由夏、こちらも大人の色気がムンムンしているイメージで石田ゆり子とは違うタイプのイイ女なんです

 

 

テロの影響でフラッシュバックに悩まされる洋子はリチャードにニューヨークで暮らそうと持ち掛けられるんです、でも洋子を忘れられない蒔野はマドリード公演の合間に洋子と再会するんです

 

 

洋子は蒔野の言葉に揺れ動かされるのですが蒔野のマドリード公演には現れなかったんです、でも洋子のアパートを訪ねた蒔野と洋子はそこで初めてキスをするんです

 

 

洋子が日本で蒔野と暮らそうと考えたのですが蒔野の師匠の祖父江が倒れたことですれ違ってしまうんです、それをマネージャーの早苗に洋子に連絡してもらおうとするのですが、蒔野に仕事以上の感情を抱いていて嫉妬して蒔野と早苗は仲違いするように仕向けるんです

 

 

その早苗を演じるのが桜井ユキです、早苗は才能に惚れこんでいたのですがいつの間にか蒔野への想いが溢れるんです、そして洋子がリチャードと結婚し、蒔野も早苗と結婚となるんです、ここは酷い話しですよ

 

 

もうこの6年でいろいろあって再会するのにすれ違ったりとほんの3回しか会えてなかったのに愛を育んでいたのですね、それに2人は大人なのでいろいろあっても想いを埋め合うんですね、監督は「容疑者Xの献身」「昼顔」の西谷弘

 

 

 

 

 

たった三度会ったあなたが、誰よりも深く愛した人だった それが『マチネの終わり』です。

 

 

 

 

 

あのラストは静かな印象でじんわりとした感動でした、如何にも日本的な終わり方だったのではないでしょうか?