『オーメン』
1976年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 リチャード・ドナー
脚本 デビッド・セルツァー
撮影 ギルバート・テイラー
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
出演 グレゴリー・ペック/リー・レミック/デビッド・ワーナー/ビリー・ホワイトロー/ハーベイ・スティーブンス/レオ・マッカーン/パトリック・トラウトン/マーティン・ベンソン/アンソニー・ニコルズ
《解説》
6月6日6時、2人の子が生まれ、1人が死んだ、それが〈オーメン〉の始まりだった
悪魔の子ダミアンに翻弄される人々の恐怖を描き、世界的ヒットを記録した名作オカルトホラー、ジェリー・ゴールドスミスによる音楽がアカデミー作曲賞に輝いた
適度に配分された殺人シーンとアンチ・クライストのテーマによって、「エクソシスト」に次ぐ大作ホラーとして大ヒット、6月6日6時に生まれた悪魔の申し子、彼の正体を知ろうとする者が次々と謎の死を遂げていく、グレゴリー・ペックをはじめとする名優陣の演技がいっそう恐怖感を高めてくれる傑作ホラー
《物語》
ローマ、6月6日午前6時、産院に急ぐアメリカの外交官のロバート・ソーンは妻のキャサリンが男の子を出産したがすぐに亡くなったと知らせを聞いていた
キャサリンは子供を欲しがっていてやっと授かったのに死んだと知ると自殺しかねない、ロバートはキャサリンに何と言ったらいいのか悩んでいた、病院で知り合った神父に養子をとられたらどうかと提案された
神父は同じ日、同じ時刻に生まれた男の子を身代わりに貰って欲しいと頼まれ、その母親は産後すぐに死んだという、キャサリンには経緯は話さずに、その男の子をダミアンと名付けて自分の子とした
数年が経過し、ロバートは駐英大使としてロンドンに栄転、いつかは大統領と夫婦は意気込み、ダミアンも病気ひとつせずにすくすくと成長をしていた
ダミアンの5歳の誕生日のガーデンパーティでダミアンの若い乳母ホリーが1匹の黒い犬に見入られた、ホリーは出席者の目の前で屋上からダミアンに叫び、首を吊って自殺した
翌日、大使館にブレナン神父が訪ねて来た、ブレナンは自分はダミアンの出産に立ち会ったと言い、ダミアンは悪魔の子で母親は山犬だと説明、そして母親もお腹の子も殺されると告げる
日曜日、ロバート夫妻はダミアンを連れて教会に向かうと近付くにつれてダミアンは脅えだして震え、車の中で叫んで暴れ出した、ダミアンに異常な振る舞いに急遽帰宅
ダミアンを動物園に連れて行くと動物たちが怯えて暴れ出した、ロバートは子供がかかる病気を何もかからないダミアンを少しおかしいと感じるがキャサリンは健康なだけと取り合わない
やがてブレナン神父が事故で亡くなり、第二子を妊娠していたキャサリンが2階から転落して流産してしまった、そんな時、カメラマンのジェニングスがロバートを訪ねて来た
彼が撮ったホリーとブレナンの写真には不気味な線が入っていた、ホリーの首に線とブレナンの体を貫く線、これはただの偶然かとジェニングスはロバートに尋ねる、そしてジェニングスの写真にも首に線が入っていた
ロバートはジェニングスと共にダミアンの出生の秘密を調査しにローマへと飛ぶ、当時の建物は火事で焼け落ちていた、なんとか出生の秘密を神父に問うとそこは墓地だった
その墓地では6月6日に死んだ2つの墓があった、ひとつはダミアンの母親で墓を開けるとそこには白骨化した山犬の死骸、もうひとつロバートの息子の墓を開けると、頭部に穴の開いた赤ん坊の死骸、ロバートは自分の息子が殺されたことを知り悪魔の子を殺す短剣を手に入れるのだが
《感想》
当時は「エクソシスト」と共に世界中にオカルトホラーブームを巻き起こした作品です、グレゴリー・ペックなどの実力派俳優の参加で作品のクオリティがグッと上がりましたね
グレゴリー・ペックが演じるのは主人公の外交官ロバート・ソーン、悪魔の子を知らずに我が子として迎え入れてその事実を知って驚愕するのです
悪魔も世界を征服するつもりなのか後にアメリカ大統領と成り得る人物を選んでます、それにロバートの出世に邪魔な人間は排除していきます、なのでとんとん拍子なんです
ロバートの妻のキャサリンを演じるのがリー・レミックでダミアンを自分の子供だと信じて疑わないんです、でも第二子妊娠の時にはダミアンに二階から落とされてしまいます
この落下シーンではリー・レミックが落下を拒否したために壁を床のようにして落下しているように見せたそうです、子供を作られると邪魔なのでキャサリンも始末されます
カメラマンのジェニングスを演じるのはデビッド・ワーナー、本作のクライマックスとも言える壮絶な死に方でこのシーンはよく覚えています、スパッと首が切れて見事でしたね
こんな神を否定するような作品を撮ると何かおかしな出来事が起こったりするもんです、ロンドンでの撮影中にグレゴリー・ペックがいつも食事していた店がIRAによって爆弾事件に見舞われたそうです、その日はたまたま行かなかったようです
監督のリチャード・ドナーが宿泊していたホテルもIRAによって爆破されたそうですが、リチャード・ドナーは無事だったそうです、やっぱロンドンってテロが怖いですね
動物園のロケの日には飼育係がライオンに食い殺される事故が発生、その他にも色々と不吉な事が起こったそうです、御祓いしなきゃね
ラストシーンのダミアンの不気味な微笑みは本当はNGだったそうです、監督がダミアン役のハーベイ・スティーブンスに笑うなと演出したのに笑ってしまったとか、それが逆に良い出来で採用されました
映画の後に原作が発売されてベストセラーとなり、20世紀フォックスの社長が続編を作れるようにラストシーンの変更を言われ、既に撮り終わっていたが撮影をし直すと、映画は大ヒットとなり三部作のシリーズとなりました、続編の「オーメン2 ダミアン」も素晴らしいです
音楽を担当したジェリー・ゴールドスミスはリチャード・ドナーの希望で実現、それがジェリー・ゴールドスミスの生涯唯一のアカデミー作曲賞をもたらしました
映画史上、最大の恐怖と戦慄があなたを直撃する‼ それが『オーメン』です。
ちなみに666の数字は新約聖書のヨハネの黙示録の獣の数字とされます