『女優霊』
1996年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督・原案 中田秀夫
脚本 高橋洋
撮影 浜田毅
美術 斉藤岩男
音楽 河村章文
出演 柳ユーレイ/白島靖代/石橋けい/大杉漣/根岸季衣/高橋明
《解説》
監督、中田秀夫×脚本、高橋洋による伝説的ジャパニーズ・ホラー、伝説にして史上最恐と謳われたホラー映画!
新人監督のデビュー作品を撮影中に撮影所で起こる怪異を描いた「女優霊」は、WOWOW製作のシリーズの1本として製作された作品、「呪怨」「リング」「らせん」「回路」「着信アリ」、すべてはここから始まった!
《物語》
新人監督の村井俊男は、デビュー作の準備に余念がない、セットも組まれてカメラ・テストも順調に進む
ある晩、主演女優のカメラテストのラッシュを見ていると、途中からまったく別の映像がダブリ、1人の女優が映っているのに気付くがけたたましく笑う女がいた
しかし、その映像を小学生の頃にテレビで見た記憶のある村井は何だか釈然としないが、撮影は和やかな雰囲気で順調に進んで行った
そんなある日、村井はロケバスの中から例のフィルムに写っていた女優の背後にいた髪の長い女の姿を目撃するが気のせいだと思った
それ以後、現場では次々とおかしな出来事が起こる、撮影も佳境に入ったころ、主演の黒川ひとみの声に別の声がかぶさって聞こえた、ひとみのマネージャーは現場で何かを感じて御守りを渡した
新人女優の村上沙織がふざけて上がったセットから転落死したりと奇妙な事件が続出、村井は沙織が転落する時、背後に髪の長い女がいたとADの女性から聞かされる
村井は、このフィルムが気になり、過去の事件を調べていくとあのフィルムの中の女優が沙織と同じ死に方をしていたことを知る
そしてラストシーンの撮影中、ひとみはセットの片隅で沙織の生首を見てしまい、恐ろしさのあまり叫んでしまう、その瞬間に沙織の代役の女優が狂ったようにけたたましく笑い出した
現場は騒然となり、ラストシーンのフィルムに例の髪の長い女が写っていた、村井はセットに謎があると考えてセットの上へ、しかし村井はそのままどこかへ連れ去られてしまった
村井の部屋を訪れたひとみは、誰もいないへやの洗面所の鏡を覗きこむと、背後に気配を感じた
《感想》
これは怖かったです 結局どうなったか分かりませんがそこまでのプロセスが怖かった
監督の中田秀夫、脚本の高橋洋がテレビドラマ以来久々にコンビを組んでいる、中田と高橋、そしてプロデューサーの仙道武則は1998年に再び手を組んで大ヒット作「リング」を送り出しており、その意味では日本ホラー史の中で重要な作品です
恐怖演出が高く評価されることが多い作品です、初めて観た時にはゾクッとするシーンがありました、よく噂のある撮影所ですから関係者も怖かったのでは
黒川ひとみを演じるのが白鳥靖代、新人女優の村川沙織を演じるのが石橋けいで序盤で死んでしまうとは思いませんでした
新人女優が転落死するシーンで落ちたショックで右足がグニャリと曲がって痙攣してるのはびっくりでした、人間が死ぬ時はこんな感じなのかと思いました
それと、代役を立てて撮影再開した時に死んだはずの新人女優の幽霊が顔を逆さまにして撮影現場を見ているシーンはゾクッとしました(汗)、それを見てしまったひとみは恐怖に震え、代役の女優は狂ったように笑い本当に怖かった
意外なキャスティングに思えた主演の柳ユーレイも、実際に本作が劇場初監督だった中田自身の投影でもあるでしょう新人監督・村井を確かな演技力で演じています
前半はジワジワと迫りくる幽霊の不気味な怖さの演出ですが、ラストに向けてははっきり姿を現す幽霊に興醒めする人もいるかもしれませんがやっぱ怖さは格別です
でもその髪の長い女の幽霊は強烈なインパクトで迫ってきます、まさに後の「リング」の貞子をイメージさせます
当初、テレビ用に作られた作品ですが出来の良さから劇場公開になった作品、ジャパン・ホラーの先駆けになった それが『女優霊』です。
上映時間は短いですが、間延びせずにテンポよく進みます 幽霊ものは怖いです(笑)