「僕はおかしい、気が変なんだ・・・」
私にはとてもそんな風には映っていないのに、
まるで言い訳をいうようにメッセージを送ってきた。
彼女と別れたのであれば、荒れて当然。
しばらくは自分の好きなように時間を過ごせばいいだけのことだ。
そんなJulienが前に私に勧めていた映画をやっと見ることができた。
ポーランド人であるクシュトフ・キェシロフスキ監督による
フランス映画"Trois Couleur : Bleu"(邦題「トリコロール・青の愛」)
日本では1994年に渋谷Bunkamuraのル・シネマにて上映された。
ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞した作品だけに
その作品の存在感は、おぼろげに記憶に残っていた。
物語は自動車事故という悲劇的な場面から始まり、
作曲家である夫と幼い娘を同時に失ったという女性の絶望的孤独が淡々と描かれる。
誰もが味わうであろう人生の絶望感を、亡き夫の未完の欧州連合協奏曲の
美しくも哀しい旋律が全編に渡り奏でられる。
私も思わず目頭を押さえつつ、主人公の心情へと深く入り込んでいった。
人の生の赤裸々な営みを当然の姿として表し、「愛は寛大」というモチーフに
収束していく様は、哀しみの中での歓びを観る者に与えるようにも映った。
私は一度見ただけではわからないであろう数多くの伏線の描写に気付いたものの、
一回だけではきっと、すべてを理解できないこの作品の深みを垣間見た思いがする。
しかしJulienは、決めつけるわけではないが、若いのに非常に感性が豊かであると
改めて思う。やはり、育った文化的背景が異なるからなのか、洞察力の深さに
私の方が幼く感じてしまう(笑)
物語の最後に流れる美しい旋律と「コリント人への第一の手紙」から引用された
歌詞は、最大の見どころなのだろう。(後ほど和訳を載せたいと思います)
一度でも絶望という名の試練を経験した人であれば、
きっと心を打たれない人はいないはずだと思う。
その歌詞からどうしても描かずにはいられなかった。 未だ余韻は残っている。

insatiable desire...
飽くなき欲求・・・生への渇望と解釈した
