◎UFCファイトナイト184の感想② | DOCROMANCE - EKPUAのブログ

DOCROMANCE - EKPUAのブログ

 格闘技とエクプアの活動……

 メインイベントはアリスター・オーフレイム対アレクサンドル・ボルコフ。

 ボルコフ選手は初めてみるが、あまり覇気はなくヌボーとした感じの大巨人。身長2メートル1センチ。なんとなく新極真のブライアン・ヤコブセン選手を思い出させる佇まいだ。

 対するアリスター・オーフレイム選手は40歳。ややたるんだお腹はお歳によるものか、それとも科学の力が使えないからなのか……

 PRIDEのミドル級(93キロ)で活躍していた頃は、長身のひょろりとした体格だったアリスター選手。膝を中心とした打撃が強く、意外な武器としてフロントチョークが得意で、ビクトー・ベウフォート選手からも一本を取ったのは驚いた。しかし減量の影響なのか後半にペースが落ちる傾向があり、ミドル級グランプリではマウリシオ・ショーグン選手に逆転負けを喫していた。

 その後、何故か突如として極真空手のイベント「一撃」にて、K-1ルールでグラウベ・フェイトーザ選手と戦うも、当然ながらKO負け。一体なんだったんだと首をひねった当時のファンは、後に愕然とすることになるのだ……

 それは旧K-1のイベントである「DYNAMITE!」でのこと。GP決勝で反則という愚行を犯したバダ・ハリ選手の相手として登場したアリスター選手。その姿はまるで別人。スーパーヘビー級という言葉をもってしても形容が追いつかない、山脈のような筋肉に覆われていたのだ。まさに戸愚呂弟状態。

 

 お、お前、まさか……

 

 よくバキバキの身体を誇る格闘家に対し、「ステロイドやってんじゃないか?」「いやナチュラルだ」などと揣摩憶測ふんだんに議論されることがある(最近ではYouTubeで木村ミノル選手や平山迅選手が自ら話題にしていた)が、異常なまでに膨れ上がったアリスター選手の場合、そういった議論すら生じないレベルであった。その後は科学の力と一撃必殺の膝蹴りを武器にK-1チャンピオンへと登りつめ、旧K-1崩壊後は海外MMAへとその身を転じたのだった……

 

 そんなわけで、とりわけ日本のファンにはなじみが深いアリスター選手だが、ややたるんだ腹はなにか哀愁を感じさせるものがある。ボルコフ選手はファイナルファイト/ストリートファイターZEROのソドムを思わせる背中のどでかい入れ墨が目を引く。

 

 1R、サウスポーに構えるアリスター選手にボルコフ選手は右のインロー。まともに受けて下がったアリスター選手にパンチを数発見舞うボルコフ選手。アリスター選手はガードで固まりながらもしっかり見ている様子。左の下々段を返すがあまり効果はなさそう。両者ともに相手の動きをよく見ている。ボルコフ選手のパンチをさばくアリスター選手。前進しようとするとボルコフ選手はステップバックし、依然としてサウスポーのアリスター選手に右の前蹴り。更に右の下々段を放つがこれはしっかりすねブロックされる。アリスター選手が身体を沈ませながら左フックを単発で2回。両方ともボルコフ選手はクリーンヒットを許さない。ボルコフ選手はオーソドックスだが、痩せたヤンザジャイアントノルキヤ選手のようにも見えてきた。アリスター選手は3度目のロングフックからつかみにいくが振りほどかれる。関節狙いか? 謎の下段横蹴りも不発。更に左フックからつかみ。あまり組みにいく意欲は見せず離れる。なんとなく、この相手には寝技勝負にいった方がいい気もするが。

アリスター選手がオーソドックスに構えるとボルコフ選手は距離を取ったまま戦うためかサウスポーに。アリスター選手が左に戻すとボルコフ選手もオーソになる。アリスター選手は意表を突いて前手の右アッパーから左ミドル、そして2回目の下段横蹴り。更に左フックから前に出ようとしたところにボルコフ選手は左ジャブでストップ。バランスを崩して倒れたアリスター選手はグラウンドでガードを固めるが、一気に詰めてきたボルコフ選手のパンチ連打を受け、危機感を覚えたかすぐ立ち上がる。このあと右ストレートを受けて嫌な顔をするアリスター選手。試合中に尾骨が折れたと語っていたが、このときだろうか? 以降ややつらそうな表情となり、ケージに詰められる場面が多くなる。ガードでしのぐが呼吸がつらそうに見える。

 

 2R、ボルコフ選手は左ジャブと右ストレートで中に入れさせない。ストレートから左フックも見せるようになる。アリスター選手は組み付きのフェイントから左フックを放つが当たらず、ジャブを返される。接近を試み、組み付くが離される展開。ワンツーの右をもらい、ダメージを見せるアリスター選手。更にアッパー気味の右からの左フックを受け、半身になって後退。流血し、かなり厳しい。起死回生のタックルで片足を取るも突き放され、またしても右からの左フック。折れた鼻を守るためか閉じたガードの横からもらってしまい、倒れたアリスター選手。レフェリーが試合をストップした。

 

 やはり一抹の寂しさを感じてしまうアリスター選手の敗戦。しかも明らかにキャリアは終盤にさしかかっており、王座を取って引退すると心に決めた戦いだったそうだ。だが正直、今回の相手はタイトルマッチへの道に立ち塞がった、文字通りあまりに高い壁。何回やっても同じ結果になるのではとすら感じさせる内容にみえた。そこがまた悲しい一戦であった。 †