辞める勇気もあれば、辞めない勇気も、ある。
3月に出産を控えたスタッフが退職の挨拶に。今までの気持ちを伝えたい、と手紙に書いたものを目の前で読んでくれた。
そのなかで「2年前のミスで会社の危機を招いてしまったこと、本当にすみませんでした。」と。
2年前、とあるメーカーに他社の注文FAXを誤送信したことにより、そのメーカー社長の怒りに触れ取引停止状態に。当時、売上構成比率5割強の商品だったため、経営体制の見直しを迫られた。
その時、「責任を取って辞めます」といってきた彼女の辞表をつきかえした。
「責任の取り方が違う!」と。
もし本当に責任を感じるなら残された会社のメンバーと共に戦って、将来笑い話にしようぜ、と。
本当は辞めるよりも、どんどん状況が悪くなっていく会社に残るほうがつらかったろう。自分は酷な選択を彼女に突きつけたのかもしれない(その当時は会社を倒産させないことに頭がいっぱいでそんな気を回す余裕はなかったけれど)。
1年で経営を立てなおし、2年目に新たなメーカーとも巡りあうことができた。結果的に会社のターニングポイントになった。ただ、そのことを辞める直前まで彼女に気にかけさせてしまっていたことを後悔した。
辞める勇気もあれば、辞めない勇気も、ある。
手紙を読んでもらっている時、自分も感情が高ぶってしまい正直ほとんど聞いていない(笑)。「感情の記憶」っていうのは痛々しい経験を重ねた時の方が残るものなのかもしれないが、不思議とその深さは残りの人生に温かいものとしてよみがえる時がある。結局、彼女に何を伝えたか憶えてないけど、でも、きっと伝わっているはず。
辞めてしまったほうが楽だったろうに、会社に残ってともに戦ってくれてありがとう。チャンスを創ってくれたあなたのためにも市場を変えてみせるから、会社の心配はせず安心して元気な赤ちゃんを産んでね!




