いつも読んでいただきありがとうございます。
建設業社労士でゼロコスト採用コンサルタントの渡瀬です。
皆さんジョブ・カードってご存じですか?
この質問をすると多くの方が「知らない」または「名前程度しか知らない」という返答があります。しかし、人材育成関連の助成金を申請しようとするときには「キャリアコンサルタントまたはジョブ・カード作成アドバイザーによるキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを交付されること」という項目が設定されていることがあります。
ジョブ・カードとは?
ジョブ・カードの説明としては厚生労働省がジョブ・カード制度総合サイトというHPを作成しており、その中で詳しく紹介されています。このサイトの説明を引用すると「ジョブ・カードとは、以下のとおり、『生涯を通じたキャリア・プランニング』及び『職業能力証明』の機能を担うツールであり、個人のキャリアアップや、多様な人材の円滑な就職等を促進するため、労働市場インフラとして、キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと、求職活動、職業能力開発などの各場面において活用するものです。」と記載されています。
生涯を通じたキャリア・プランニングとは?
これもサイト内の説明を引用すると「キャリアコンサルティング等の支援の前提となる個人の履歴や、支援を通じた職業経験の棚卸し、職業生活設計等の情報を蓄積し、訓練の受講、キャリア選択等の生涯のキャリア形成の場面において活用する『生涯を通じたキャリア・プランニング』のツール」と定義されています。
職業能力証明とは?
これもサイト内の説明を引用すると「免許・資格、教育(学習)・訓練歴、職務経験、教育・訓練成果の評価、職場での仕事振りの評価に関する職業能力証明の情報を蓄積し、場面・用途等に応じて情報を抽出・編集し、求職活動の際の応募書類、キャリアコンサルティングの際の資料等として活用する、職業能力を見える化した『職業能力証明』のツール」と定義されています。
厚生労働省としてはジョブ・カードを上記のように活用して頂きたいという思いがあり、人材育成関連助成金の項目となっているのです。余談ではありますが、令和4年度には「ジョブ・カードの活用等を通じたキャリアコンサルティングの普及促進」という名目で21憶円の予算配分がされております。
(21憶円も注ぎ込んで、人にその認知度を確認しても殆ど知らないとは…。著者の心の声)
ジョブ・カードの活用
ジョブ・カード制度総合サイトの活用例では上記のような活用を想定しているようです。しかし、この図を見ると求人企業に対して応募書類の追加資料として活用など、ちょっと現実的ではない活用方法が盛り込まれていたり、職業能力開発に活用するという目的がありながら現在働いている会社への活用方法が未記載であるのも事実です。
現実的な活用方法
私が推奨する活用方法は以下の様になります。
①履歴書・職務経歴書の基データ
以前に履歴書や職務経歴書についていくつかブログを書きましたが、特に職務経歴書はフォーマットが無く作成ハードルが高くなる傾向にあります。しかし、ジョブ・カードは予めフォーマットが準備されていることから作成ハードルは低く、ジョブ・カードで自分の経歴をまとめた後に履歴書や職務経歴書を作成すると、作成難易度が低下します。
②職務の棚卸と将来への活用
ジョブ・カードのフォーマットにおいて様式2職務経歴シートというのがあります。簡単に言うと職務経歴書の職務経歴と似ていて、期間・会社名・所属・職名・雇用形態・職務の内容という記載欄があり、唯一違う点が職務の中で学んだこと、得られた知識・技能等という欄があることです。ここを転職であれば次に目指すべき職種、能力開発であれば今後なりたい自分との共通点探しとして記入していくことで、自分の出来ることと不足していることが明確になり今後の課題設定をしやすくなります。
まとめ
ジョブ・カードは厚生労働省が多額の予算を投入して運用している制度です。そして行政が必死で考えた内容ですので決して悪いものではありません。企業として上手に活用することで労働者の能力把握や今後の課題の洗い出しに活用し、結果として助成金申請においても有効利用できるツールとなります。