す救急隊への妨害行為と題したブログ(No.1164 救急隊への妨害行為)を少し前にアップしたと思いますが、これはその最上級たるお話です。
今からおおよそ20年前の話、驚くなかれ、これ、正真正銘の実話です…

ところは福岡県北九州市(小倉)。
『オートバイの転倒事故、ライダーが負傷』との通報で駆けつけた救急隊。現場には骨折したライダーの男性…事故の起因は犬を避けようとして転倒。通常であれば救急車内へ収容し、処置を行い速やかに病院搬送…と、なるはずでした。
が、その日は少し違っていたのです。ライダーの近くにはぐったりした犬が横たわり、周囲には一目でソレと判る数名のいかつい男性、地元地区を仕切るいわゆる反社のメンバー。その数は増え、救急車を取り囲むようにしてある要求を突きつけたのです。それは「犬も病院へ連れて行け」と言うもの。
救急隊は拒否したものの、恫喝や救急車を蹴り出すなどの妨害行為も行われ、最終的にはライダーの男性と犬を一緒に乗せ、病院へ搬送したのです。
もちろん、病院到着後、犬を治療するはずもありませんし、そもそも助かる見込みのない状態。この犬は反社チームのリーダーの飼犬で、何とか犬を助けたいとの動物愛護の一心から、このような行動にでてしまったようです。
にしても、ケガ人と共に犬まで運ぶとは前代未聞の出来事。
この時の救急隊員が、救急救命九州研修所(消防職員を救命士に育てあげる養成所)の仲の良い同期生で、救命士として活動を始めて間もなくの出来事だったのです。
この話題は全国ニュースとなり、テレビでも報道されました。同期会の際に「〇〇ちゃん、なんで犬を一緒に運んだの?あれはさぁ、どんな理由があろうと、拒否しなければダメじゃん?」と、問うと「キムニィさん、それは現場を見てないから言えるんですよ、ホントにヤバくて怖かった、アレだけの男性に囲まれたら…隊長は連れて行かれちゃうし…」との事。
この同期救命士、今はソコソコのポジションにいるのですが、彼が言う事に同期も皆、納得。そうなんですよ、綺麗ごとだけの現場じゃない現実が存在するんですね。
因みに負傷したライダーは、搬送中の救急車内で震え上がっており、自分のケガの心配どころではなかったそうです。でも、よくよく考えれば、法律的にライダーに過失はなく、それどころか道路に飛び出した飼犬の管理責任が問われ、ケガの治療費やオートバイの修理代等の支払い義務も生じるんじゃなかったかな。このライダーもある意味、もらい事故、気の毒に思えます。
今は暴対法など法律が強化され、全国的にも反社の方達の影響は影を薄めつつある感じですが、当時はまだ恐れられる存在でしたから、対応した救急隊もさぞかし大変だったと思います。
自分ごとですが、僕も反社のリーダー格の関係者(妻)を搬送する際、その部下達から「何やってんだよ、とっとと〇〇病院へ連れて行けよ!」と詰め寄られた事があります。怒号の飛び交う現場でしたが、その時、隊長である僕は毅然とした態度で「黙ってろ、処置してんだよ、邪魔すんじゃねぇ!」と大声で言い返してやりましたよ…心の中で…
と言うように、一般常識の通じない者もいる現場に対応するので大変です。人対物の火災と違って、救急は人対人なので、臨機応変な上手い対応が要求される訳です。
犬を搬送…僕が隊長であっても、そうしたかもしれません。今でも同期の集まりでその話題が出る事があり、当時を思うと大変なご苦労だったと推測…お疲れ様でした。
以上、あり得ないようなホントの話でした。詳しく話ししたいところですが、これ以上は守秘義務。報道された範囲内に留めておきます。この事故、いや事件は救急車・犬搬送・逮捕等のキーワードで検索すると、直ぐに出てきます… (・_・;)