救急出動では頭痛、胸痛、腹痛、腰痛…と言う具合に、身体のあちこちの痛みを訴える傷病者が多くいます。
その中の腹痛は、上腹部(大雑把に言うならヘソの少し上)、側腹部(わき腹)、季肋部(わき腹に近い=説明しずらい)、臍部(ヘソ周辺)、下腹部のように分けられます。
そして、痛みの場所・性状で、僕ら救急隊もある程度診断(病名)がつき、それを元に対応できる病院を選定するのです。
ではここで、特徴のある腹痛のお話をしましょう。
下腹部痛の要請で現場に到着すると、苦しそうに下腹が痛いと訴える男性。
観察すると下腹部は硬くパンパンに張っている状態。聞けばオシッコが出ずらく殆ど出ていないと言う…そう、これは尿がお腹に溜まって張りと痛みを訴えるものて、そのものズバリ「腹が張って痛い」と言う人が多くいます。この、腹が張る状態を膨満感(膨満症状)と呼び、救急隊が病院連絡時に「〇〇歳男性、下腹部の膨満感、尿が2日出てない…」などと伝えるのです。
この状態を尿閉と呼び、病院で尿道から管を入れ、溜まった尿を排泄すると、嘘の様に痛みと膨満症状はなくなり、そのまま帰宅となる訳です。僕は経験がないので判りませんが、結構辛いみたいですね。
でも何故か尿閉で要請される人の殆どが男性かつ高齢者。前述のとおり、オチンチンに管を入れ、オシッコを出せばとりあえず処置は終了。その後は尿閉に至った経緯を元に診察が継続される訳ですが、世の御婦人方、絶対ではないので安心するなかれ、明日は貴方かもしれません…よ。オマンマに管など入れられぬよう、ご注意を…(笑)
追記)
尿が出ない症状(病態)にはもう一つあります。それが乏尿と言って、尿自体を生成できなくなるもので、尿が少ししか排泄されないのです。酷い時は無尿と言って、ほぼ尿が出ないなんてのもあります。本来排泄されるべきものが体内に溜まる訳ですから、尿閉(溜まった尿を出せば良いだけ)と違いちょっとばかり心配なのです…