参照枠と感覚運動経験 | リハビリ茶屋

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理学療法士/抗加齢指導士のエイジング情報

『知』には、3種類あると言われます。




①知っていること(知の知)


②知らないということを知っていること(不知の知)


③知らないということすら知らないこと(不知の不知





①は、要するに知識や既知のこと。


②は、例えば…

 私は「飛行機の運転方法」を知らないことを知っている

 男は女性の気持ちを良く分かっていない、ということを知っている

など、「知らない」事実を知識として知っているレベル。


③は、意識できないゾーン

意識が向いていない(知らない・分からない)ゾーンが人にはあって、もし一たびそのゾーンの物事に気づいてしまったとしても、その時点でそれは②番の扱いになってしまうし。

すなわち、知らないということは何かすら分からない、そんな感じのところ。






リハビリテーションでは、


時には③を扱う必要がある時があります。


可能ならば②や①に切り替えて扱えてもいいかもしれないけども、


意識(大脳皮質を介する経路)を関与させてしまうと、上手くいかないケースがあります。





Intelligenceの高い大腿骨頚部骨折手術後の方の歩行姿勢の改善に、


「もっと体重載せて」「こっちに身体を向けて」と口頭指示を送ってもなかなか修正・自動化されない。


『意識して体重を乗せる』


そんなこと自体が人間には不自然なことで、歩き方を考えながら歩いてたら「今日の晩飯何食べよう」なんていう楽しみが無くなってしまう。


それよりも、他ごと考えた瞬間にツマヅイテ転んでしまうでしょうね。







自分の姿勢の歪みや、骨折脚への荷重の弱さに気づいてもらうことも大切だが、


意識したところであくまでもクライアント自身の参照枠reference frame ハート・ネット脳科学モデリング人材育成研究所HPより)内で修正するにすぎないわけであって、


もっと大切なのは、③のゾーンで扱えてしまえることが大切なんじゃないかなぁ、と思ったりします。


脳卒中の症状に対するカラダの考え方なんてまさにそうだと思っています。






何をもって、③の扱いを可能にするんだね?と自問自答した時に、


やはり感覚運動経験ありきなのかなぁ、と思います。


脳に入る感覚情報をもとに運動出力し、再度感覚が入力されるというループを通して、すなわち「行動」や「体験」を加えていくことによって、整理・編集され、行為・運動の「意味」(抽象概念)が形成される。この抽象概念を形成しておき次回からこのプロセスを経ることで、他の行動に応用がきくようになり、これが学習となる。

(参考:茂木健一郎「脳を活かす仕事術」)






奥深し…。汗



Masa