介護と仕事 | 生活を豊かに醸造したい(life-brew) FP/料理/craft beer/音楽/美術/身の回りや季節のこと など-

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FP事務所ライフブリューです。
2019年まで「Mr.ソトコト」で綴ったブログをFP開業を機に再開します。
FP関連の比重を高めたい!と意気込んでますが、まぁあまり気負わず続けていければ。
以前の記事も残しておきますので、よろしければご覧下さい。



ひと月ほどサボりましたが、しれっと戻ってきました。


経産省が昨年度末に発表した「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」


ビジネスケアラーのことです。

また新聞に出ていたので、経産省のサイトからきちんと読んでみました。


昔から妻や嫁や娘が担っていた家内の役割が、共働きの増加と少子化で、働く人全体に広がってきたものといえます。

もちろん、介護保険サービスの利用も進んでいるけれど、身内のケアがゼロになるかというとそれは難しい。

これまでも働く子どもが親の介護をすることはあったわけですが、「家庭の問題」と分けられないほどのボリュームになってきたんですね。


       介護離職


自分も、現役の人事だった時に何度も目の当たりにしました。

上司や人事が知る頃には、もう手遅れなんです。本人が心身共にボロボロになっていたり、故郷に再就職先を決めていたり。


介護って、全員が経験しないことだから理解やノウハウが貯まらないし、いつ来るかも分からないから備えが難しい。

出産や死に比べると、経験値の蓄積や共有があまりされてませんよね。


このガイドラインは会社(経営)の立場の視点だけれど、それが社員の立場からどう見えるのかな。

会社にとって介護問題の優先度が低いというのはその通りにみえる。プライベートなこと、家族の問題という意識がまだ大きいし、社員も親の介護について会社に期待していない。介護離職が出て経営層が危機感を持っても、じゃあ具体的にどーすればいい?のところで手が止まっている。


企業はヒアリングやアンケートをしろ、とあるけど、その結果どんな対策が打てるか、事前にあるいはすぐ打ち出すつもりがなければ、やめたほうがいい。

大手はけっこう以前から意識調査などしてますよ。でも対応が伴う会社は限られているはずです。聞いといてどうすんの?と思われてしまうぐらいなら「やるだけアンケート」は逆効果。

疑心や不安や不信を和らげる具体策が知りたいんです。相談された上司がきちんと会社のケアのメニューを伝えられるようにしてあげないと、上司の丸投げられ感や無力感は半端ないです。


このガイドラインの分析はすごいし、社員の心配も汲んで載せているところは、そつなく漏れ無く隙が無いです。

でも、解決に近付きそうな具体性が無い。企業に示された主なポイントは次のとおり。


①実態把握すること

②情報発信すること

③人事労務制度を充実すること


③は休業期間の延長や給与補填の増額など挙げられているが、そういうこと??

結局自分で何とかせいと言ってるだけじゃね?

介護で休む必要を減らせるよう、介護保険サービス外のサービスの実費給付とか、地域包括センターとの間に入って繋いでくれるスタフの紹介など、経営問題としての踏み込みを実感できる施策を示しても良いのではと感じました。


①も②も、やってる感を見せるためのポーズにはなるだろうけど(失礼)、これが次のステップにいつ頃活かされるのか、マイルストーンがあるともっといいのに。


中小企業にとってお金のかかる支援は厳しいでしょうし、全企業の最低ラインを揃えるためのガイドライン、初めの一歩。という役割だから、できそうなことから足を揃える入り方は理解できます。そうなんだろうなと。


現実は、具体策を展開している危機感をもった会社が多く出てきているように、もっと状況は進んでしまっています。経営陣が本来の危機感を持たなくても、取り組まざるをえないような強制的な仕組みを国でつくる手もアリだと思います。

非財務レポートでの公開情報に入れたり、育児のように認定制度を作ったり、会社のブランドイメージに直結する枠組みに入れるとちょっと違うでしょう。

ただ、そう書きながらも、個人と企業が担う役割の分け目は、落としどころが見えるまでまだまだ時間がかかるだろうなと思ってます。


最後に紹介のあった、各社の取り組み事例集が興味を惹きました。やはり先行事例が実践的で参考になります。

ご興味があればご参照ください↓


ではまた。

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