先週の初めにあわただしく引っ越しを終えた我が家。
引っ越し運送会社のウクライナ人チームはサクサクと仕事をしてくれたものの、キッチン組み立ての若いお兄ちゃんがミスの連発で、1週間経ってもまだ完成されていないという混沌ぶり。
リヴィングには段ボール箱が散乱しているし、まだまだやることは山積みでげんなりしてしまう。
となると・・・、悪妻の考えることはただ一つ。現実逃避である。

というのも先週は現実逃避にこの上なくぴったりなイベントがあった。毎年楽しみにしているアフリカフェスティバルである。木曜日から日曜日まで堂々4日。一日も欠かさず通った。もうこうなると立派なアフリカおたくである。
3年前初めて行ってからというものすっかりはまってしまい、去年からは旦那や下の娘も巻き込み、今年は二人とも楽しみにしていた。
日没近くになって着くと、出た出た、大きな橋の下にある空き地に設営されたそこはライブミュージックがガンガン鳴り響き、各国の煮込み料理を売るテントが立ち並び、いろんな肌の色の人達が行き交う雑多で国籍不明の空間となっている。むちゃくちゃテンションが高くドイツ離れした雰囲気である。
さあまずは腹ごなしをしなければ。
今までのアフリカンフェスではサモサしか手を出さなかったが、今年は思いきって見たことのない料理にもトライしてみた。
ウガンダ人のチームが出しているお店で、ピラフに煮込み料理を少しづつ取ってくれる。これが思いがけずすごくおいしかった。先に手を付けた娘が、ママこれすごくおいしいよ、と指したどろどろのペーストは ピーナッツ風味のほうれん草に豆の汁。、ビーフシチューは肉がすごく柔らかくチキンもかぶりつきたくなるおいしさ。全然辛くなく、ドイツ料理ほど塩辛さもなく、日本人の口にも合う。あまりにおいしかったので、3人でぺろりと平らげ、翌日から行くたびに同じお店でリピートしまくる。
しかし、ウガンダといえば、毎年サモサを買っていたお店の看板娘のお姉ちゃんが今年は見当たらない。
どうしたんだろう。お店の人に聞いてみようかな、と思っていたところ、黄色いTシャツを着たおばさんがいきなり
「あんた、今年も来たのねー」と話しかけてきた。
ン、どちら様でしたっけ?と穴のあくほど相手の顔を見たが、全く面識がない。
「あんた、私を忘れたのー。毎年私のお店でサモサを買っていったじゃない」
わ、あの姉ちゃんだ。すっかり様変わりして誰かわからなかった。
一昨年は羽のように長いつけまつ毛にフルメイクで妖艶なアフリカンビューティーだったお姉ちゃん。去年はつけまつ毛がなかったせいで別人のようだったが、まだ本人だと認識できた。今年は・・・なんと言えばいいのか、気のいい長屋のおかみさんみたいな風情である。髪型がショートになったせいもあるが、化粧っけは一切なく、目など一昨年の半分ぐらいの大きさだ。ある意味整形レベルの変容というか、お面でも付け替えたような別人ぶり。女性のメイクでの変容ぶりは恐るべしである。
「やだー、ねえちゃん。会えてうれしい。全然わからなかったよ」
「私、老けちゃったのよー。あんたはどうしていつもそんなに若くてフレッシュに見えるの」
とお世辞を言ってくれた。フレンドリーさは相変わらず。
おなかがくちくなれば、今度は喉が渇くもので、こちらも今回初トライしてみたのが、サトウキビジュースである。
機械で絞られた後のぺたんこになったサトウキビの茎がうず高く積まれている様は圧巻!
サトウキビジュースにマンゴーやライムなど様々なフレイバーで割ったものだが、甘くてフレッシュでこちらも毎日リピート。
隅のほうでは、ワニ肉やダチョウ、カンガルーなどの野生動物の串刺しを売る屋台を発見。
ムムッ、初心者レベルではないが、私は約30年前アフリカの旅でワニ肉を食べたではないか。あれは確か鶏肉のような触感でとっつきやすかった気がする。
久しぶりに注文してみると、本当に鶏肉そっくりでやわらかく記憶の中のワニ肉よりおいしい!1本9ユーロ(約1500円)もしなければもっと食べたかったのに。

しかし、私にとってさらなる上級者レベルのアフリカのご飯といえば、エチオピア料理である。
なんせエチオピアといえば、アフリカ縦断バスの旅行で、みんなが唯一やせた国である。主食のインジェラは酸っぱさが際立ち、旅行者のブログには、見た目は雑巾、味はゲロなどと書かれてある。煮込み料理の肉もとにかく辛かった記憶しかない。はっきり言ってもう一度食べたくなるようなものではなかった。
しかし行ったことのある国は懐かしく、スタンドで働いているエチオピア人のお母さんも感じがよかったので、勇気を出して数十年ぶりにエチオピア料理を注文してみた。こちらも数種類の煮込みに例のインジェラが2つ付く。
席に着き、おそるおそる口をつけてみると、ン、そんなに悪くないじゃん。2種類の豆の汁物はおいしいといってもいいぐらいだし、煮込みの肉も辛いが現地で食べたものよりはマイルドである。おまけにインジェラもドイツ人の舌に合わせたのか酸っぱさが少なく、ふわふわして食べやすい。個人的な好みとしてはウガンダのお店のほうに軍配が上がるが、記憶の中にあるほど悪くなかったかな。
お皿を返しに行くとき、お母さんにアムハラ語で「ありがとう」とお礼を言ったら喜んで投げキッスをしてくれた。(続く)