中央広場に立ち並ぶ建物は本当に華麗だったが、一歩そこを抜けると、寂れた雰囲気が漂う建物をいくつも見た。
このように壁の黄色い色が剥げかけていたり、
かつては美しかったであろう淡い緑の建物も空き家なのか、上の階はガラスが破れ、窓も老朽化している。
壁のしっくいが所々剥げている角のお店は古着のお店。
思い切って「ハロー」とドアを開けて入っていくと、ライダーズジャケットを羽織ったお店のマダムが「ドブリーデン(こんにちは)」と挨拶してくれた。グーテンタークじゃないのを聞いて、改めてチェコにいるのだと実感。
中には友人らしい女性二人がソファに座っていて、商売そっちのけで手作りのケーキにお茶で話に花を咲かせている。世界各国共通の、古着を愛する人の気取らない心地のいい雰囲気が流れていた。
妹の友達じゃないが、この界隈はまさに「チェコは、金がない!」である。
しかし、これがまた見ようによっては陰鬱の美というか、晩秋のヨーロッパ(ってまだ9月の半ばですけど)、朽ち果てていく哀愁とでもいうか、妙に心に響くのである。
現代的なコンクリートの建物だと、寂れるとおどろおどろしさが際立つが、昔のきちんと造られた建物が滅びていくときは風情がある。こういう雰囲気、嫌いじゃないかも。
素敵なチョコレート屋さんを見つけて入ってみた。このレトロなお店の雰囲気。昔の薬局を改造したのだろう。
お土産にオブラーテン(ゴーフルのようなもの)を買ったところ、思ったよりずっと安くもうひと箱追加。他のお土産屋さんでもバスソルトを一個買ったら安さにびっくりしてもう一つ追加。物価は確かにドイツよりずっと安いようだ。
店中所狭しと並ぶチョコレートの数々。色んなモチーフがある。
チョコレート屋はドイツにもたくさんあるが、昔の薬局を活かしたディスプレーがレトロで風情のある雰囲気。
帰路の電車の時間が近づき、中央駅に向かう途中で見つけた花屋さんのウィンドー。女の人の広がった髪が石の花瓶としてうまくマッチしていた。
弾丸日帰りで街にいられたのはたったの2時間。休みなしで歩いたせいかお腹が減ってきた。
16:30の出発まであと30分しかない。私は仕方なく、最初に駅を出た時見かけたベトナム人の経営する食堂に飛び込む。
あまり柄の良くない店内で、肉体労働者風のオジサン達にジロジロ見られながら急いで熱々のフォーをかきこみ、中央駅へ駆け足。今日は最初から最後まで駆け足だった。
2時間後、無事ニュルンベルクに到着。近代的な駅の構内は明るく人が多く、もちろん社会主義のカケラもない。
一日にして2つの異なる世界にまたがった不思議な混乱。
でも初めてのチェコよかった。町はきれいだし、人もどことなく穏やかでアグレッシブな感じがない。ぜひまた行ってみたい。温泉で有名なカルロビバリも見たいし、やはり一度はプラハを見ておかなくては。
しかし、何といっても一番うれしかったのは、元気になって一人で出かけられるようになったこと。
メンタルの不調が長かったので、一時はチェコどころか、ほんの数十メートル先にある幼稚園に子どもを迎えに行くことさえ、億劫だった。旅行が好きな人、旅行が楽しめる人が羨ましくて仕方がなかった。
帰宅して、旦那に「それにしても、どうして突然チェコに行きたくなったんだい」と聞かれ、
「いや~、一線を越えたくて」ととっさに答えたのだが、ドイツ語で一線、限界などを意味する単語Grenzeは国境の意味もある。その意味では今日国境も超えたし、長年不調に苦しんでいた自分の限界も超えたのかもしれない。何よりの弾丸日帰りチェコの旅であった。










































