柔道一直線の息子が楽しみにしていた週末の大野将平氏の柔道セミナー。
結局土日とも参加できることになり、週末の二日、旦那と3人揃って朝早く起き、眠い目をこすりながら共に家を出た。
車で1時間半ほどで道場のある町に着く。うちの隅の谷とそう変わらない人口の閑静な住宅街にある道場。こんな田舎によく来てくれたなアと不思議に思う。
駐車場にはポツダムやライプツィヒなどの遠方や隣国オーストリアのナンバープレートが並ぶ。さすが柔道のスーパースター。彼のセミナーを受けたいがために多くの人が遠くから足を運ぶのだ。
9時を過ぎ、参加者全員列になって並ぶ。参加者は約150人で若い人を中心に老若男女。多くが黒帯やその手前の茶帯の所持者だ。まだほんの小さい子も何人か混じっているのがかわいらしい。
オリンピック金メダリストの指導が受けられるめったにない機会とあって、ドイツはもちろん、なんとボスニアヘルツェゴビナやフランス、ウクライナのゼッケンをつけている人も見受けられた。おそらくドイツ在住のラッキーな外国人だろう。
司会者の男性が簡単にあいさつした後、スピーカーからドンドコドンドコ太鼓のような音が鳴り響き、「プリーズウェルカム、ミスターショーヘイ・オーノ!」の声と共にカーテンがさっと開いて大野将平氏が出てきた。途端に沸き起こる拍手。この人がリオと東京2度のオリンピックで金メダルを獲った選手かあ。
現役時代に比べだいぶ髪が伸びて、いくばくかの風来坊感が漂う。背はそんなに高くないが、上半身ががっしりしていて強そう。厳しい競技生活を離れたせいか心なしかリラックスしたムードに見える。
招待者からドイツらしくビールを送られ喜ぶ大野氏。
その後は短いあいさつの後、さっそく今日のトレーニングに入る。大野さんは英語で説明するのだが、さすがドイツ人。みんな英語がわかるようで通訳は要らず。このへんはドイツ人すごいなあと思う。
彼の英語は短くわかりやすい。おまけに技の名前は世界共通で日本語なのだが、日本人の私でも名前を聞いただけでは何のことかわからないナントカ返し~とかナントカ払い腰~などの長い技の名前をさすが柔道家、皆さんうなずいて聞いている。長く柔道を続けている人たちだからこれぐらいは当たり前なのかもしれない。しかし、こんな長い日本語を、と少し感動してしまった。
ウォーミングアップでは倒立や腕立て伏せ、手押し車で体をほぐす。150人が一斉に腕立て伏せをする様子は壮観であった。
お手本の後はペアに分かれて練習。うちの息子は欲がないというか、恥ずかしがり屋というか、大野さんから遠く離れたところでばかり練習している。もっと近くに寄って行って質問とかしたらいいのに、と思っていたら、彼のペアの青帯の男の子が大野さんのところに行って積極的に何事かたずねていた。ナイス青帯くん!
2日目の練習では、幸運にも大野さんの目に留まり、何事か短くアドバイスしてもらえる一コマがあった。もちろんスマホカメラにてバッチリ撮影しましたとも!
昼食前には記念撮影のコーナーが設けられ、うちの息子も緊張しながら側によって一枚一緒にとらせてもらった。
昼食休憩を挟んで、午後の部の開始。
一日目は内また、二日目は立ち技から寝技への解説。鋭い切れ味で練習相手の体がバシーンという音を立てて床にたたきつけられる。世界レベルの技を目にして思わず拍手が起こる。
実践で見回りに来た時、ほんの1mの距離で大野氏を見た。私の人生で何の競技にせよオリンピックの金メダリストをこんなまじかで見たの初めて。
お手本で内またをかけられて派手に転んだ男の子が、傍らのお父さんに「パパ、僕オーノに投げられたよ。ちゃんと撮ってくれたッ?」と興奮した面持ちでたずねていた。大野さん、うちの息子も投げてッ。(続く)










