ドイツ、悪妻愚母のよもやま話 -12ページ目

ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

主婦にして家事はおざなり、興味あることだけ、猪突猛進の悪妻愚母のドイツ生活

私はシンシャンションはないが、ニーハオと言われたことは何度もある。何の悪気もなくあいさつ代わりに言う人もいたが、からかうようなバカにしたようなトーンで言う人もいた。どちらかと言うと後者の方が多い。以前、学校の前を自転車で通り過ぎた時そこにいた数人のティーンエイジャーの男子にカン高い声で言われた時もあるし、去年のクリスマスマーケットに娘と二人で行ったとき、ベラベラ日本語で話していたらいきなり前から来た小さな息子連れのオジサンにすれ違いざま「ニーハオマ」って割と大きな声で言われた。

娘「うん、あったあった」

「あれはさ、ドイツだけじゃなくて他のヨーロッパやアメリカでもよくあるみたいだよ。ネットコミュニティでもその話題があって、どうしたらいいですかという質問に対し、いろいろな答えがあったよ」

 

無視する、相手に直接抗議するなど様々な意見がある中、私が面白いと思ったのは、向こうがニーハオと言ってきたら、こっちはボンジュールと答えてやるというもの。

向こうにはアジア人はみな同じに見えるのかもしれないが、こっちに言わせてもらえばあんた達だって同じに見えるんですよっていう逆襲、視点の転換なり。 

娘はゲラゲラ笑って、「それいいね、私今度使ってみる。おバカな奴らがニーハオと言ってきて、私がすかさずボンジュールってやかえしたら絶対戸惑ってアホみたいな顔すると思うわ。ププッ」

ふーん、じゃ私も次回やってみよ。

 

まったくシンシャンションといい、ニーハオといい無知無教養な奴らが多いっての。こういう輩はまとめてニーハオ魔と呼んでやろうかな。電話魔、しゃべり魔みたいに。

私はドイツに20年以上住んで、幸いあからさまな人種差別は受けたことがなく、時々遭遇するニーハオ魔は私にとってまったく重要性がない人間なので、たいして気に留めていなかった。

 

ちなみにクリスマスマーケットのオッサンに対しては、

向こうが図らずも「ニーハオマ(你好吗 )」(調子はどうだい)と言ってきたので「ヘンハオッ!ニーナ?(很好!你呢?)」(元気よッ。そっちは?)と間髪入れずに回答。

 

オッサンは自分が何を言ったかも知らず、当然こちらの返答も解らない様子でこっちを見たままそれ以上何も言ってこなかった。このケースはこれにて終了。無邪気なニーハオかからかいのニーハオか微妙なところだった。ま、ドイツに住んでいてこれからもニーハオ魔に遭遇する可能性は消えないのだから、こっちも頭をひねって相手を戸惑わせる反応を編み出してやらなくちゃっての。

水曜日の午後は下の娘と二人で新聞配達。もともとは息子がやっていたバイトを引きついたのだが、娘はまだ小さいので私がヘルプに入る。当然報酬も折半。ウインク

 

娘は1年前から日本語を習っていてややボキャブラリーが増えてきたので、出来るだけ日本語で話しかけながら歩く。

 

私「そう言えばさ、お兄ちゃんが小さい時もこんな風に日本語で話しながら道を歩いていたら、見知らぬお婆さんにいきなり『ドイツ語で話せ』と憎々しげに言われことがあったな。腹が立って『できますとも。(こっちがドイツ語で)話したい時にはね』って言い返したけどさ」

「えー、本当?そんなことがあったの」

「まあ、その婆さんは見るからにみすぼらしい感じで地位も教養もないのが明らかな人だったので、一瞬腹は立ったけど、あまり傷ついたり落ち込んだりはしなかったけどさ」

 

「私はシン・シャン・ションとか時々言われるよ」と娘が言う。

「ええっ、本当。誰が」

「クラスの男子。2,3人ぐらい。時たまね」

シン・シャン・ション(チン・チャン・チョンともいう)はアジア人を侮蔑する言葉で、言われてうれしい人は誰もいない。

娘の話を聞く限りでは深刻な様子ではないが、エスカレートして一線を越えたなと思ったらすぐにママに教えてちょうだいよと言っておいた。

家に帰ってちょっと検索してみると、日独ハーフのタレント、コラムニストのサンドラ・ヘフェリンさんがこんな記事を書いていたのを見つけた。

彼女の頃からあったんだこの問題。

娘のクラスメートの場合、差別というのか、無知、教育不足の気がするが、やっぱりこれも先生に言った方がいいのかな。ちょっと考えてしまった。

 

ちなみにアジア人がもう一つよく言われるの言葉に「ニーハオ」がある。中国語の「こんにちは」であるが、こっちも気をつけないと変な輩が多くて。(続く)

しつこいようですが、家をめぐる攻防戦、まだ続いています。滝汗 もー、自分でもイヤ。

 

また、新たな展開があった。

 

週末の日曜日、旦那が「おーい、びっくりするものを見つけたよ」とドスドス下に降りてくる。

なによ、変なことじゃないでしょうね。ちょっとドキドキしながら旦那の差し出すタブレットを見たところ、私たちの住むこの家が不動産のネットサイトに出ている。それだけなら今までと同じなのだが、なんと360.000ユーロで売り出されていた家が310.000ユーロになっている。50000ユーロ(約817万円)も値下がりしている!大幅割引である。しかも写真も一新され、どう見ても私達が越してきた以前、つまりは最低でも12年前の写真が使われている。当然今よりきれいで、庭の芝生も青々としている。これを見て内見に来た人はフェイクフォトだ、詐欺だと騒ぎ立てるのではないかと危ぶまれるようなレベルだ。

 

こりゃあギリシャ人家族、断りよったな。ほとんど決まったかと思われたが、土壇場で気が変わったか。弁護士と税理士に相談した結果、この状態の家でこの値段は釣り合わないと気がついたか。

だいたい旦那の冷静な見積もりでは、この家の価値はせいぜい150.000ユーロ、つまり売り出し価格のたった半分である。

 

実は大家さんは7年前にもこの家を売り出そうとしたのだが、その時の値段は299.000ユーロだった。その後7年間、何のリフォームもなされないまま値段だけつり上がっているのだからおかしな話といえばおかしな話だ。

その当時見学に来た人たちもバカではないから全員に断られ、ついには今回ギリシャ人家族にもそっぽを向かれ、大家さんも観念して値下げに踏み切ったか、とにかく青天霹靂の展開である。

 

いやーよかったな。これで首の皮がつながったと喜ぶ旦那だが、まだ油断はできない。

興奮した彼は日曜日だというのに不動産屋P夫人の携帯に電話を掛けた。P夫人はギリシャ人夫妻に何があったのかわからないと言う。まだ完全に降りたというわけではないようなのだが、不動産屋なんだから何があったか本当は知っているでしょ。もったいぶらずに教えてくれたっていいじゃん、ケチ。

詳しい事はまた月曜日にお電話します、と言ったが木曜日になっても連絡はない。さすがドイツ人。

 

もしギリシャ人が手を引いたとなると、またこれから内見希望の人が来て、その度に掃除をし、あと何年いられるのか気を揉み、の繰り返しがまた続くのかあ。いい加減落ち着いて欲しいねんけど・・・。

だいたいギリシャ人家族は、この家は投資のために購入する、最初の数年は貸して、将来いつか自分たちが引っ越してくるって最初から言っていたではないか。別に全然歩み寄るとかしてないと思うんですけど。

双方が満足するようとか言っていたくせにいきなり一方的にギリシャ家族に肩入れするようなものの言い方。及びその上から見下すような言い方。最初の自己紹介ではニコニコ愛想よくしていたのに騙されたわ。

 

恐らく娘は、もうすぐ自分が不動産屋を引き継ぐという事で、経験は浅いけど、知識はあるという所をひけらかしたかったというか、自分がデキる人間だということを強調しようとしたのではないか。またしても自分、自分、他者のことなんか一顧だにしないドイツによくいる輩である。

こんな奴にお茶なんか出すんじゃなかった。後で見たらきっちりがぶ飲みしておる。

ギリシャ夫妻の方は何を考えているのか、相変わらずうれしくもなさそうな浮かない顔つきである。

結局この日は契約書に署名せず、ギリシャ夫妻はお抱えの弁護士、税理士に相談すると言ってお開きになった。

娘は言いたいことは言ったせいか、来た時同様帰るときは、またニコニコして愛想よく握手の手を差し出してきたが、さすがに私も仏頂面で手を出すのが精一杯だった。

 

全員が帰った後で旦那と顔を見合わす。

「ホントにムカつくよねー、あの女」

「今までP夫人でうまく行っていたのにいきなりしゃしゃり出てきて」

「顧客の満足度など何にも考えちゃいない。成立さえすればいいと思ってるんだ」

共通の敵が見つかり、珍しく二人で盛り上がる私達。いいんだか悪いんだか。

 

ムカーとしたところで、一つだけいいのは怒りによってパワーが湧いてきた。

そう、最近の私のパワーは怒りが根源。日本ではお目にかからないような理不尽な対応や横柄なものの言い方をする奴らに出会う度(ようけいるんですわ、こういう輩)以前は傷つき、一人飲み込んでいたのが、最近になってやっと反撃モードに転じてきた。

私をなめんなよ。ドイツ語が完璧でない外国人だからといって引っ込んでいると思ったら大間違いやで。

 

「ねえ、次回うちに来るときは、P夫人だけで来てもらいましょうよ。娘が来たらまた嫌な思いをするわ。今までP夫人でうまく行っていたじゃない」

というと、旦那もそうだなと賛成。こういうことははっきり言わなければわからない。

と言っても、今までの手続きは全て旦那任せ。ドイツ語の能力に差があるのだから仕方がないが、これぐらいのことは私にだって言えるはず。

「今まであなたに全部やって来てもらったじゃない。私も少しは役に立ちたいわ。あなたが言いにくかったら私がP夫人に言うわよ」

献身的な妻を装って旦那に進言するのも、実は自分の怒りを発散したいからだったりして。

旦那はありがとう、でも僕が何とかするよ。と言ってくれたが、P夫人が来たら私もせめて一言は言い添えたい。

 

この国では本当に言わなきゃ何もならない。言ったってわかってもらえないことも多いが、せめて言わなきゃ伝わらない。

長く住んでいるとだんだん自分が猛々しくなっていくのを感じる。そしてたまに日本人に会うと、急に日本式に合わせようとし、必要以上に丁寧で気を使い、後でどっと疲れるこのギャップ。チーン

年末からバタバタしていた家をめぐる動き。

隣町から見学に来たとても感じのいいファミリーに決まりかと思いきや、一転して最初に興味を示したギリシャ人家族に決まったと不動産屋さんから連絡があった。

見学に来た時、夫妻共に浮かない顔をしていたからてっきり断ったと思っていたのに・・・。あの浮かない顔はポーカーフェイスを装ったか、或いはドイツに長く住んでドイツ人化してしまったか。

 

先週末、改めてギリシャ人夫妻、不動産屋のP夫人及び彼女の娘(もうすぐ事業を引き継ぐのだそう)が来て、話し合いとなった。

P夫人は年配の穏やかな女性、娘の方は30代後半といったところか。笑顔でテキパキハキハキした感じの人だ。

遅れてやって来たギリシャ夫妻は今日も何となくしかめ面で浮かない顔つき。もうこの人達はこういう顔の持ち主だと思う事にしよう。

話し合いはP夫人の娘が仕切り、どちらの側にとっても満足のいく交渉になるようにしましょう、と勢いよく言う。

 

ギリシャ人家族は、私たちに3年間与えるという。その後は自分たちが住みたいので、私達には新しい住居を探して欲しいと。最初来た時はいつか移り住みたいというだけで、5年はいられると思っていたのに。

この家はかなり修理が必要な個所が多いのだが、ギリシャ夫は、自分たちはこの家のために沢山投資する気はない、どうせ3年後に大々的に改築するのだから、それまでは何もしないと言い切った。

3階の錆びついた窓の修理はどうなるんでしょうと思ったら、不動産屋の娘(以下、娘)が「それは法律で家の持ち主が修理代を持つことになっています」とテキパキコメント。本当は全面的に窓を張り替えてほしかったのだけど、あまり言うと機嫌を損ねそうなので、最低限の修理ということで折り合う。

 

私達の望みは一つ。下の娘がレアルシューレを卒業するまでここに住む契約を取り付けること。ドイツは7月が年度の終了だから、2028の7月まで住まわせてもらえば、何とかなる。

ギリシャ夫は「7月か・・・」としかめ面。多分2028年の1月きっかりに出て行ってほしかったんだろう。

旦那は、卒業の前には卒業試験もあるし、並行して進路先も探さなければならない、そのうえ引っ越しの物件探しも重なるとかなりストレスだからと説明する。

 

すると娘がいきなりしゃしゃり込んできた。「あのね、〇〇さん(旦那の名前)、この方たちはすごく寛容ですよ。3年もここに住まわせてあげるって言ってくれているんです。とてつもなく大きな妥協じゃありませんか。何だったら、いきなり引っ越して来ても文句は言えないんですよ。彼らがその気になったらすぐに引っ越してこられるんですよ」

目を見開いてこちらを見下ろすように言う。

 

は、あんた誰?何様のつもり?高飛車なものの言い方にムッとする私。ムキー (続く)