スペイン語教室は自慢したがりの集まり? | ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

主婦にして家事はおざなり、興味あることだけ、猪突猛進の悪妻愚母のドイツ生活

 2月の終わりに地元の市民講座で習い始めたスペイン語のクラス。

 イースター休暇で2週間の休みをはさんで、今週また再開である。

 先生はコロンビア人の女性。アニータといい、パトリシアといい、最近出会うスペイン語圏の人はピンポイントでなぜかコロンビア人が続く。

 

 うちの隅の谷で開催されるぐらいだから当然小さなグループで、しかも参加者は高齢者ばかり。

 サルサのクラスでも高齢者が多かったが、こちらは本当に正真正銘のお爺さんお婆さんで、6人中4人が退職者。もう一人の教師をしているという知的そうな女性も60近いだろう。40代の私なんて完全に小娘である。もちろん他の人達は全員ドイツ人。

 

 みんな基本的にいい人達で、高齢にもかかわらず新しい語学を習おうとするのだから、それなりに知性のある人たちなのだろう。が、最初の回から気づいたのが、どうも自分の知識をひけらかしたがるというか、自慢したがり屋が多い。

 

 退職者Aは、以前イタリア語を習っていたという事で、たいしてモノにならなかったと自分で言う割に、何かというとイタリア語の知識を披露したがる。

 先生が、スペイン語の新しい表現を教えると、度々

 「それはイタリア語では〇〇〇と言うんじゃよ。似ておるな」あるいは、「イタリア語とは全然違うな、ワハハハハ」

 だから何なんだよ。誰も聞いてないっつーの。と心の中で毒づく私。

 

 私の隣に座っているお婆さんも「これはフランス語に似ているわ」とかしょっちゅう言う。わざわざ言わなあかんのか。

 そんな事を言ったら私なんて、先生が何か言うたびに、「これは日本語には似てないわ。これも全然似てないわ」しか言えないではないか。

 能ある鷹は爪を隠すなどという格言は、このスペイン語教室では皆無である。(ドイツ全土でと言えるかも)

 

 もう一人の退職者Pは、やたらアドバイスを与えたがる人で、スペインに旅行に行ったら、ぜひスーパーで店員さんに片言でもいいからスペイン語で話しかけてみるべし、と言う。

 「わしが妻とバカンスに行った時はじゃ、小麦粉はどこですか、○○はどこにありますか、と積極的に話しかけて、向こうも喜んで相手になってくれたんじゃ。ドイツで外国語を学んでもなかなか喋れない人が多い。なぜか。それは失敗を恐れてしゃべろうとしないからじゃ。それじゃあいかん。積極的に話しかけてみなくては」と結ぶ。

 

 それはいいけど、オジサン、その話、授業の度にしてませんか。1回聞けば十分なんだけどな。もっともこれはご高齢のせいで、自分が何を言ったか忘れているという事もあるかもしれない。

 

 洋の東西を問わず、オジサンというものは、ご指導ご鞭撻をたれたがる人種である、というのはとうの昔に学んだ真理だが、ここでもさらに私の偏見を助長する羽目になるとは。

 

 私に言わせてもらえば、そんな自分の自慢話を延々とするよりも、黙ってさっさと先に進んだ方がよっぽどスペイン語の上達になると思うのだが、どうもこの自分を語りたい人ってドイツに多いなあ。語学教室から学校のPTAから何から何までである。

 

 私の日本語の生徒、マリ男くんが

「語学コースに行くとさ、どのクラスに行ってもいつも絶対知識をひけらかす奴がいるんだ」

 と言ってたけど、ホント、私が教えた中でも、教師の私を差し置いて勝手に説明しだす輩、いたわ。

 

 私にとって幸いだったのは、回が進むにつれて、そんな自慢したがり屋のおジイさん達が段々静かになってきたこと。多分授業が難しくなってついてこられなくなってきたんだろう。

 ざまーみろと心の中でほくそ笑む腹黒い私。おジイさん達が静かになればなるほど、私が質問して自分の知識を増やす機会が増えるのだ。

 若輩の私は、彼らのように語るべきものもご指導ご鞭撻できるものも持っていないが、さてどちらが先にスペイン語が上達するか。見てみよう。