イースター休暇の今週。学校も休みなので、午前中に娘達二人と映画館に行ってきた。
見たのは、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」。こちらでも1月には封切りされていたのだが、今回オスカーを獲ったということで凱旋上演。いつもはそっぽを向いてついてきてくれない娘達も宮崎アニメならと珍しく一緒に来た。
しかし・・・。館内ガラガラ。私達3人の他には中年カップルが一組で、ほとんどプライベート映画館のような様相である。贅沢なようなもったいないような・・・。
「君たちはどう生きるか」は日本でも賛否両論で、絶賛する人と、難解でわけがわからないと言う人の二つに分かれると聞いていた。
私にとっての最大のハードルは、ドイツ語の吹き替えにどこまでついて行けるかだったが、こちらの方は思ったより大丈夫だった。(と思う)
確かに後半に行くほど盛りだくさんの内容で、一回ではかみ砕けない感じはある。
しかし、わけのわからないパッションというのか、理解を超えたところで胸に迫ってくる何かがあった。
私が一番感動したのは、主人公と亡くなった母親が時空を超えた空間で再会できたのに、過去に戻る決心をするところ。
戻れば、空襲で焼かれて死ぬとわかっているのに明るく笑って、
「だってあなたのお母さんになれるのですもの。すばらしいことじゃない」
と迷いもなく過去への扉を開けるお母さん。涙が出そうになった。子どもを持つ今だからいっそう胸に迫るこのシーン。
あと、宮崎アニメはやはり画力が高い。赤い部屋のふかふかした壁、調度品の重厚な質感は本物のアンティークの部屋を見ているようだし、トロピカルな庭園の植物は鮮やかに光り輝いている。それらを見るだけでも眼福である。細部まで手を抜かずさすがはジブリと感心。日本アニメの底力を見せつけられた気がする。
こういうのを見ると、昨今の日本やアメリカのアニメは画力が雑というのか、チャチな感じで、私などげんなりしてしまうなあ。
この映画が難解だと言われるのも、日頃見ているアニメが、わかりやすいストーリーに溢れているからというのもあるのではないか。
世界は善悪に分かれていて、オレが悪者を倒して世界平和を手に入れるゼ!ヒーローのおかげで世界が救われました。めでたしめでたしみたいな。そういうのに慣れている子どもは戸惑うかもしれない。
あとはやはりドイツ語の吹き替えになじめない。キャラクターの雰囲気が著しく変わる。なんというか全員非常に理路整然としてテキパキしている感じ。
主人公の新しいお母さんである夏子もドイツ語だと、感情の起伏が少なく、冷静で事務的な感じ。ハイジのロッテンマイヤーとまではいかないが、血の通っていない感じがしてしまう。
家に帰って日本語の予告編を見たところ、しっとりした優しげな日本婦人という感じ。もう全然違う。
日本語を習い始めた下の娘も、ドイツ語で話すキャラクターは違和感があるという。
この映画は2度見に行く人が多いと聞くが、私ももう一度見に行きたくなってきた。ただし、今度は是非とも日本語で見たい。
ネットで調べたところ、大きな都市ではオリジナルの日本語版で上映しているところを見つけた。娘を連れてもう一回行っちゃおうかな。