『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』は、SF要素を取り入れたラブ・コメディーです。
地求人の宇都宮和人とエルフィア人のユティスの恋を、甘く切なく時にはおバカに展開します。
もちろん、カップルはこの二人だけではなく、何組かの恋のお話をそれぞれ違ったアプローチで並行していますよ。
成立しそうでもう一歩とか、恋のもどかしさというか、そういうものをコメディーとして挿入しているんですね。
で、このラブコメを決定付けるものはなにかと、わたしもいろいろと考えるものがあって、今まで接してきたラブコメを思い返しました。
そのあげく確信したのが、「トキメキ」なんじゃないかなぁ、ということなんです。
わたし自身、読んでいてワクワク、ドキドキ、するような作品は、だいたいこのトキメキ表現が上手いんですよねぇ。
代表的なのは、かれこれン十年前になりますが、あだち充さんの作品群じゃないでしょうか。
「タッチ」とか「みゆき」とか「ナイン」とか「陽あたり良好」とか、みんなその辺の描写がとっても優れています。
「南ちゃんブーム」ってすごかったでしょぉ?!
随分前の話だから、知らない人も多いんでしょうかぁ?
あは。
これらのお話、みんな高校野球が重要な舞台装置になっているんですが、これだけ高校野球だけに絞って作品を出せるなんてスゴイです。
まぁ、それだけ高校野球にはいろんなドラマが詰まってるというわけなんでしょうけど。
それで、キャラなんですが、あだち充さんの場合、血の繋がらない異母兄妹とか幼馴染とか、二人の設定がもともと非常に近いんです。
その二人の出会いがこれまたいろいろあるんです。
けれど、この物理的な距離がくせものなんですねぇ・・・。
近いからこそ近づいてはいけないとか、近づけないとか・・・。
そういう心理的に危うい関係が実にハラハラするわけです。
で、大体、女の子は一途に思ってるんですが、男の子の方が超消極的で男仲間では一目置かれてるのに、女の子には強がりばかりで、自分の気持ちにはからっきし意気地がなくて・・・。
なんて、最後の最後まで強引とも思えるくらい引っ張りまくってるんです。
結末を言っちゃうと面白くないからこの辺で止めておきますが、どの作品も全編を通じてこのトキメキが大波のように押し寄せては引いていくんです。
この絶妙な構成が、あだち充さんの真骨頂なんですね。
とってもマネできません。
そう言えば、このラブコメって言葉、いつ頃から使われ始めたんでしょうか・・・?
だいたい、あだち充さんが少年誌に作品をあげるまで、少年誌のほとんどはスポーツ根性モノとかお色気ギャグとかが多くて、恋愛ものも「愛と誠」なんてのもありましたが、ストーリーの全編を通じて「恋」が語られているものは、あまりなかったと思います。
男は根性!
アクションもの!
というわけで、もろ、カテゴリー1的な価値観が支配していたわけです。
それだけに、あだち充さんの登場は非常に新鮮だったんですね。
男の子だって甘く切ない恋に興味はあるし、恋愛ものを読んみたいんだって。
彼は少女マンガの独占テーマを少年誌に堂々持ち込んじゃったわけです。
それまでは、いくら恋愛ものを見たくても、なかなか手が出せなかったわけなんですよ、男の子としては・・・。
じゃ、なんでおまえはそんなことを知っているんだって?
いやぁ、実はわたしには妹がいて、けっこう少女マンガは彼女が調達してくるのものを通じて見ていたんですよぉ。
「ちょっと見せてみな」って感じでね。
別に彼女はそんな兄貴をからかいませんでしたね。
できた妹です。
自分じゃ本屋で立ち読みだって勇気いりますからね。
助かりぃ・・・。
あは!
でも、こてこての恋愛モノは、うへぇ・・・って感じで、すっ飛ばしていましたね。
恋愛要素がドキドキの味付けくらいに収まってるのが良かったです。
当時のお気に入り作家は、竹宮惠子さんとか萩尾望都さん一条ゆかりさんとか、男性作家では、和田慎二さんとか、弓月光さんとか、とにかく絵もきれいで、ストーリーがしっかりしている作品が好きでした。
少女マンガって、少年漫画と比べて、心理描写に長けているし、ストーリーも絵も少年誌より数段先を行ってる感じがしました。
でも、一番好きなのはというと、やっぱり高橋留美子さんの「めぞん一刻」かなぁ。
もともと、スーパーSFギャグコメディ「うる星やつら」を描いている方だから、そういうモノなのかと思っていたら・・・。
確かにコメディーではあるんですけど、しっかり恋愛モノで一本筋が通っているんです。
面白いじゃん・・・!
いっぺんでファンになっちゃいましたね。
ということで、わたしもなんとかこのトキメキを自分のモノにしたいなぁと思っています。
「失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~」にもその要素を取り入れるため、いろいろ試行錯誤しました。
前にも言ったと思いますが、この恋愛要素について、少なくとも3回くらいはストーリーを書き直しています。
自分なりにトキメキをうまく表現できていないと思ったからなんです。
だからといって今アップしているのがどうかというと、どうなんでしょう・・・?
読者のみなさんにトキメキが伝わっていればいいんですが・・・。
このお話は、何部かに構成しているんですが、恋愛要素的に見ると、第一部は和人とユティスはお互い宇宙のどこにいるのかわからないままです。
会えるのは精神体での行き交いだけで、互いに触れ合うことはできず、完全に心理的なものなんです。
和人の先輩の二宮クンからは「プラトニックラブ」だとからかわれるところですけど、これって、当の本人にしてみればすっごく切ないんですよねぇ。
彼女の涙を拭いてあげようと手を差し出すんですが・・・。
すかっ・・・。
精神体では拭くことはできません。
肩を抱いてあげたくても・・・。
ふいっ・・・。
てな具合で、思いっきり切なさ、もどかしさを表現したかったところです。
そういう心理描写場面では、あまりギャグっぽい「--- ^_^ わっはっは! ---」は入れないようにしています。
たっぷりトキメキを堪能していただきたいからなんです。
そして、二人はお互いに会えるように誓い合い努力するわけです。
そして、やっと出会えることとなった二人は・・・。
ふふふーーーん。
これ以上は言わないですよぉ・・・。
お話を読んでみてくださいね!
※ノリックの『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』 本編は『小説家になろう』に連載中です!