『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~ 』には、「アソシエーション」という言葉が出てきます。
特に、ユティスはちょくちょく使っていますので、「ありゃぁ?」なんてことを思ってくれているみなさんも、いるのではないかと思います。
そこで、今日は、ユティスの言う「アソシエーション」とはなんぞや?
ということに触れてみましょう。
「アソシエーション」を平たく言うと、目的志向型の集団です。
ますますわからないじゃないかってぇ?
そんなみなさんにも、とってもわかり易い例があります。
それは、会社です!
会社は「利潤」つまり、「儲け」を追求することを目的とした集団です。
「学校」も、学生や生徒を教育することを目的とした集団です。
「政府」は、国を治めることを目的とした集団で、「地方自治体」も、地方自治を行なうことを目的とした集団です。
それじゃ、ほとんど全部アソシエーションじゃないかってぇ?
はい、リーエス、まったくそのとおりです。
21世紀はアソシエーションが人間以上の権利を持って、人間を完全に支配する世紀なのです。
なら、アソシエーション以外の集団って、つまりある特定の目的志向ではない団体って、そもそもあるんだっけぇ、ということになりますよね?
あるんです。
それは、「家族」そして「仲のいい友人の輪」なんかが代表です。
これはどうです?
まぁ、まったく目的がないわけじゃないですけどぉ、家族は会社や政府や学校みたいに極めてはっきりもしてないし、堅苦しくもうるさくもないですよね。
それは目的志向で作られたのではなく、自然発生的にできた集団だからです。
「家族」は、そこで生まれたから、一緒に暮らしているから、というなんの変哲もない理由だけです。
「仲のいい友人の輪」だって、そこで一緒になって気が合ったからでしょ?
でも、会社は?
入るのに試験ありますよねぇ。
目的を持ってますから、それに外れたことをすると処罰され、下手すりゃクビです。
定年と言って、一定期間がくると自動的に追い出されますよねぇ。
そこの長たる社長は、大きな決定権を持っていて、社員を意のままに動かしますよねぇ。
それに比べ、「家族」や「仲のいい友人の輪」は?
入るのに試験はありません。
家族の目的があるとすれば、20年近くかけて衣食住を共にして、「子供は大きく賢くなる」ことくらいです。
「仲のいい友人の輪」なんてものに、目的?
集まって、飲んで、騒いで、おしゃべりして、そんなもんは目的じゃないでしょぉ?
どっちもケンカしてくらいではクビにもなりませんよねぇ。
あは。
そして、定年もないです。
一方の「アソシエーション」は、会社が発達した20世紀に突如として表舞台に立ち、21世紀にはそこら中に溢れかえっているわけです。
家族や友人と過ごす時間より、「アソシエーション」で上下のギスギス関係の中で、フラストレーションも固まりになって過ごす方が多いんじゃないんですか?
「これこそが、カテゴリー2の主たる病巣ですわ」と、ユティスが言うわけです。
でも、なんで「アソシエーション」が発達したかというと、経済の発達と共に、オーナーの責任は有限で、権利が大きくなっていったからです。
特に経費計上の権利は、「アソシエーション」が持つ極めて大きな権利です。
また、会社が倒産しても、それが株式会社であれば、基本的に出資した金額を諦めればいいだけで、持ち株が消えても、自宅を差し押さえられたりはしないでしょ?
だから有限責任って言われるんでしたよね。
このお話でも、石橋可憐(いしばし・かれん)の父親がこれに触れる場面があります。
ちょこっと学術的な話をすると、20世紀初頭にドイツで発達した社会学界にテンニエスというスゴイ社会学者が、自然発生的グループのことを「ゲマインシャフト」、目的志向型グループのことを「ゲゼルシャフト」と呼んで、詳しく学術的な考察をしたんです。
で、わかったことは、20世紀は「ゲゼルシャフト」が「ゲマインシャフト」に取って代わっていく過程にある世紀だ、ということだったんです。
どっひゃぁ・・・!
「家族」が、いずれなくなることを、予言してたのかぁ・・・?
21世紀はさらに「ゲゼルシャフト」が進んできて、個人の権利よりも大きくなってきているんじゃないのかぁ・・・。
政府は、それ自体「ゲゼルシャフト」ですが、「企業(アソシエーション)優先政策ばかりするんじゃない!」って野党が言ってますでしょ?
あー、カテゴリー2は、なんておっかない世界だ・・・。
※ノリックの『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』 本編は『小説家になろう』に連載中です!