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先週の日曜日は、年に一度開催されるオスロの市庁舎で行われるノーベル平和賞の授賞式だった。
その様子は、テレビで観た。
今年は、ICANという「核兵器廃絶国際キャンペーン」という組織が受賞し、
被爆者である「サーロー節子」さんの演説を生放送で聞く機会に恵まれた。
絶対に観ようと思っていた訳ではなく、たまたまテレビをつけたらやっていたという感じだ。
会社の同僚が、「ノーベル財団」に急に仕事が決まったと少し興奮気味で金曜日に教えてくれた。
代表者である、スウェーデン人のベアトリス・フィンさんのお世話をすると言っていた。
原爆資料館から、ピアノや展示品が運ばれるとも聞いていた。
なので、興味はあった。
テレビをつけると、ベアトリスさんの力強い演説の途中であった。
各国の、主に核兵器を持つ国の指導者に、「核兵器禁止条約」への署名を訴える場面。
そこに、演説を聞いているノルウェーの首相であるアルナ・ソールベルグ氏が画面に映し出された。
その表情がなんとも言えなかった。
「そんなこと言ったって、そうはいかないのよ!」とでも言いたげなちょっとふてくされたような表情だ。⬅️私の先入観もはいっているので、その辺は差し引いて下さいませ!
今回の受賞は、同条約に不参加のノルウェーで行われ、これまた不参加の日本人が演説するというもの。
カナダ在住のサーロー節子さんは、杖をお持ちではあったが、85歳とは思えないほど、若々しく、力強く、きれいな英語で堂々と演説をされていた。
着物を加工したと思われる衣装も、日本人らしさがアピールされた素敵なものであった。
私たち日本人は、子供の頃から戦争や原爆の悲惨さについては、折にふれて、学校教育、映画やテレビ、あるいは戦争体験者から聞く機会もあり、節子さんの話す原爆体験は、初めて聞く話ではない。
だが、あれほど堂々としかも英語でスピーチができる「被爆者」の方はそう多くはいないだろう。
また、「被爆者」という言葉をそのまま英語でも使っていたことも興味深い。
ノルウェーのテレビ番組にも出演するなど、忙しくされていたようだ。
今回は、広島と長崎の市長もお見えになっていると聞いた。
ノルウェーは、NATOの加盟国、しかも事務総長が前首相のストルテンベルグ氏であるという立場上、
日本は、アメリカとの同盟国という立場上、
両政府としては、核兵器反対の意向を示すことができないという中での授賞式。
なかなか難しいところである。
誰もが、原爆そして核兵器のない世界を望んでいる、でも、世界の脅威と戦うには抑止力として必要なものであるという現実。
原爆の悲惨さを体験した被爆者にしかできない、その情熱で、はるばるカナダからやってきた節子さんの姿勢や魂のメッセージは、大きく世界に伝わったと思う。
だが、核兵器がこの世からなくなるのは、まだまだ時間がかかるということを、改めて知らされたセレモニーでもあった。
中国人の平和賞受賞が、政治的、経済的問題にも発展したノルウェーである。
しかし、せっかくの平和賞なのだから、政治とは切り離して、純粋に平和を訴える賞であり続けてほしいなと思った。
