「帰ったらご両親に『ありがとう』を」 ⑤
由香利は1979年(昭和五十四年)に次男を出産するが、先天性の思い心臓疾患が見つかり、命の保証はできないと医師から告げられた。
「すぐに保険の手続きのために名前をつける必要があり、夫婦で相談して池田先生に命名をお願いしました」。翌日、病院のベットで横になっていた由香利のもとに夫の潔(東京・板橋区、副総区長)が息を弾ませて戻ってきた。
池田が赤ん坊につけた名前は「伸生」だった。
「息子の名前は『生き伸びよ』と読めます。夫婦で驚きました。命名をお願いした時は急いでいたので、心臓の病状などは一切報告していなかったのです」。
ああ、この子にも必ず使命があるのだ。ベットの上で由香利はそう確信した。伸生は少し障がいが残り、片耳が不自由だが、病を乗り越え、 高校の普通学級を卒業した