春色のカーディガン②
今回の取材中、「池田会長は、”眼が鋭い”」という言葉を何度か聞いた。シャッターチャンスをつかむ力
の強さを、そのように表現するそうだ。
「昭和32年から3年間、会社勤めの頃、じつは学会本部の隣のアパートに住んでいたんですよ」。日本
写真家協会会長の田沼武能は懐かしそうに語った。
「夜、二階の自宅に帰ってきて窓を開けると、まだ本部の窓が明るくて、若い人たちが熱心に祈っていた。
大家さんに『隣は何の団体なんですか』と尋ね、創価学会の建物だと知りました」。
田沼はアメリカのタイム・ライフ社の契約写真家として池田を取材している。
「こちらの要望に気さくに応じてくださり、庭で息子さんと相撲をされるところも撮りました」。
『ライフ』の仕事がきっかけで、「世界の子どもたち」がライフワークになった。訪問国は120を超えた。そ
の多くが発展途上国である。それらの作品は長年、聖教新聞で連載され、婦人部が行った「子どもの人権
展」でも紹介された。
「戦争の一番の犠牲者は子どもです。平和でなければ子どもの笑顔はない。これが私の究極の結論です」。
近年は、武蔵野の消えゆく自然をテーマに撮影を続ける。83歳の今も機材を抱えて朝4時台の電車で
撮影現場に赴くこともある。
「単に美しい自然を写しただけだと『絵に描いた餅』のようで、心が通う写真にならない。どこかに人間の生
活、足跡を感じられるような風景を撮りたい。僭越ですが、池田さんも同じような心の構え方ではないかと思います」。
池田が撮った写真集を眺め、神奈川・真鶴の海の写真に目をとめた。
「ごく自然に、パッとひらめきを感じ撮られるのでしょう。風景写真は『出あい』に尽きます。この波しぶきも、出会った瞬間を切り取っておられるのが素晴らしい」。