池田会長が扉の前に立った。表敬の謝意を述べた。
「人類のために、献身的なご活躍をされていることを、よく存じ上げております。私は仏法者として『行動の人』を尊敬します」
室内に導かれた。中央にマホガニー製のテーブルセット。長円形で、10人は掛けられる。実務に適した造作である。
大理石のマントルピースを背に腰かけた。金色の装飾が施された鏡が室内を映し出している。壁に絵画。ヴァン・ダイクか、それともレンブラントか。
アンは児童救援団体「サーブ・ザ・チルドレン」の総裁である。SGIも長年にわたり難民の救援を支援してきた。
「難民問題は人道上の課題であり、人類に人間としての生き方を突きつけています」
「その通りです」
アンも賛意を示す。飢餓のエチオピア、戦場となったベトナム、カンボジア。自ら足を運び、復興を支援してきた。それだけに教育への関心は高い。
「創価大学は、どのような大学でしょうか」
建学理念、モットー、世界に人材を雄飛させていく信念を語った。次第に質問が具体性を帯びる。
「留学生との交流は」
「奨学金の制度は」
”お飾り”ではなく、実務にたずさわってきた人物らしい。話は尽きないが、予定の時間を過ぎている。会長は腰を上げた。
会見の詳細は、信義の上から公表されていない。またイギリス王室は、王族の私的な会見の報道を好まない。後日、聖教新聞での報道が実現したこと自体が、極めて異例だった。
「ぜひ」
会見後、王女は希望した。
「もう一度、お目にかかりたいものです」