青葉城址にビール瓶を1本、持ってきた会員がいた。「戸田先生に、ぜひ召し上がっていただきたいのですが・・・・・」
遠慮がちに差し出す。ビールがまだ貴重品だった当時である。会長は真心を喜んだ。滞在する宿まで成田がビールを届けることになった。胸にしっかりかかえ、バイクの後部座席に乗って坂道を下る。ちょうど会長車と同じタイミングで宿に着いた。ビール瓶に集中するあまり、降りるときにバランスを崩した。「おーい、大丈夫か」
飛んできた声に成田は元気いっぱい「はい」と答えた。周りから「そうじゃなくて、ビールだよ」の声。
「ビールも大丈夫です!」
笑いがドッと起こる。気楽なものである。
ひとりだけ、身を案じてくれた。
「ビールはいいけど、ケガはなかったかい?」
振り向くと池田室長だった。