遅すぎた「格付け機関」規制
金融改革の中でも、ヘッジファンドへの規制はとりわけ議論されているんだけど、具体的にはヘッジファンドのレバレッジに対して、何らかの規制が加えられる事になるはずだ。
あまりにも高いレバレッジに対して直接規定が引かれるか、金融機関からの融資を抑制するかの何らかのルールが確立される事になるだろう。(多分)
完全なザルだった「格付け機関改革法」
そんなヘッジファンドへの「レバレッジ規制」以前に、本質的にはこっちの方が重要な「格付け機関への監視強化」なんだけど、「加害者側」である格付け機関には、相当な規制を敷かなくてはいけない。
今回のサブプライムショックにおいて、ヘッジファンドを「被害者」の分類に入れるのであれば、完全な加害者であるのがムーディーズやS&Pといった「悪質な証券」にお墨付きを与えた格付け会社なんだけど、ヘッジファンドの責任の陰に隠れがちな感は否めない。
金融危機を拡大させたのがヘッジファンドのレバレッジなのであれば、格付け会社は危機を引き起こした発火点だ。「金融危機の元凶」への規制強化って事になる。
格付け会社が問題となったのは、2001・2002年に起こったエンロン・ワールドコムの破綻をきっかけとした事が記憶に新しく、2006年には「格付け機関改革法」が制定された。 この法案は、格付け決定のプロセス開示は求めているようなんだけど、格付け機関の、いわゆる発行体(格付けされる側)から収入を得るという事業内容に対して直接制限した内容ではなかった為、「利益相反」のビジネスモデルは、この法案制定後も横行したままだった事になる。
簡単にいうと、エンロン・ワールドコム破綻の混乱を引き起こした格付け会社への規制として制定された「格付け機関改革法」が完全な「ザル」だった事が今回露呈されたって事なんだけど、いい加減なお墨付きを与える会社が、そのままのビジネスモデルで信憑性のあるものとして存続している事は、ちょっと理解し難い。
アメリカの「フェイク経済」にとって、何かと都合の良い格付け会社なんだけど、今後の格付け機関規制強化は、アメリカがどこまで責任を痛感しているのかを測る指標にもなるんじゃなかろうか。
陰るデトロイト
「チェンジ」を叫び続け、チェンジの代名詞となったオバマなんだけど、当選を果たした後には、自身は「次期」大統領だという事を強調しており、AIGやGMなど米大手企業の損失の尻拭いは、自分の責任ではない事を間接的にアピールしている事になる。
その一方で、オバマは「自動車産業は米国製造業の柱」である事を公言し続けている為、就任早々「GMショック」など起ころうものなら、早くも支持率低下って事で、今現在はブッシュに自動車産業への政府支援を懇願している。
要するに、オバマとしては損失の責任は覆いたくない一方で、就任早々のイメージ悪化は回避したいって事なんだけど、そのオバマから散々批判されたブッシュとしてはすんなりと受け入れがたい要請といえる。
確かに、GMの破綻はアメリカ経済にとって「止めの一発」になるって事で、救わざるを得ない状況なんだけど、消費が冷え込み自動車の売行き自体が今後悪化する事は明白だ。 救済がされたとしても1度の支援で好転する見込みもなく、支援を繰り返し、財政負担を増やしていく懸念は大きいだろう。
そう考えると難しい選択に思えるんだけど、結局のところ「GMショック」は市場に与えるインパクト大って事で、どのみち公的資金投入は避けられない。
HF解約期
ちなみに今週末は、AIGやGMのそんなマイナス材料に加えて、ヘッジファンドの解約に伴う売り圧力が警戒されているようで、「11月暴落説」が随分前から噂されている。
ヘッジファンドの「45日ルール」からすると、12月決算のヘッジファンドの解約通知期限は11月15日となり、今月中旬のヘッジファンドの潜在的な売り圧力が警戒されているって事らしい。
ナイーブな相場はまだまだ続きそうだ。
終焉と
オバマが大統領になり、次の財務長官が誰になったとしても、より一層金融機関への規制強化は厳しくなる事は明白で、今現在バタバタと倒れているヘッジファンド業界はさらに縮小される事になる。
9月からの市場の強烈な下げで、壊滅状態のヘッジファンド業界なんだけど、アメリカの住宅バブルとヘッジファンドの「フェイクマネー」は歩調を合わせるように膨張し、最後は破裂した。 まぁ、ちょっと古めの話題ですが。
住宅バブルが始まる2002年-2003年頃から、ヘッジファンドの数も急増したのがよく分かるんだけど、10000を超えたといわれるヘッジファンドは、来年には5000とも3000とも言われ、規制の強化と共にハイリスクビジネスモデルは終焉を迎えた事になる。
去っていく幸運
そんなヘッジファンド業界の終焉と共に原油価格は急落となり、6日夜の時間外取引では、一時1バレル60ドルを割り込んだ模様。
60ドルをまた割り込んでくると、OPECによる生産カットの話がまた出てくるんだろうけど、それによって価格が上がったとしても僅かな割合に過ぎず、産油国財政の圧迫は、金融危機と相まって拡大するものと思われる。
原油高騰を背景に、財政支出を膨らませた反動がモロに出てきそうな産油国なんだけど、ドバイで今月4日、巨大なショッピングセンター「ドバイモール」がオープンしたって事で、まぁオープンしたばかりで毒付くのも何だけど、先行きは既に見えている。
UAEのブルジュ・ドバイを始め、その他の産油国も「高層ビル建設ラッシュ」って事なんだけど、後先考えずに立てまくっていたら、そろそろ文字通りバタバタと倒れていくだろう。
まぁオイルマネーという「外から来た幸運」は、時と共に去っていくって事で、バブル崩壊と共に、それらのシンボルともなった高層ビル群も姿を消す事になるかも知れない。
じゃまた。


