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尾を引く「ハウスプア問題」

そして米経済の足を引っ張り続けるもう1つの「住宅差し押さえ問題」。

2月に始まった住宅支援策も、ローン会社や銀行が非協力的な事もあり、効果薄。 今後の差し押さえ抑制の目処は立たず、といったところ。


果てしないカオス

果てしないカオス 7月も新築住宅販売件数(青)に比べ、差し押さえ件数(薄赤)は相変わらず特出している。(上表) 
差し押さえ件数を「州別」に見ると、やはり失業率が高い地域が深刻となっている。 西部ではアリゾナ、カリフォルニア、ネバダ。そして東海岸のフロリダも圧倒的。(右上表)
果てしないカオス


その結果、新築販売(赤)と中古販売(青)の「Distressing Gap」(悲惨なギャップ)は、06年からの3年間(もうすぐ4年間)、拡大し続けている。(右表)


ここ最近の中古住宅販売の反発は、差し押さえの産物でもあるんだけど、新築住宅販売の反発も「初回住宅購入者向けの税還付」が押し上げている、と見られている。
対象者は8千ドルの支援を得ているらしいんだけど、この支援策も11月30日で終了する事を考えれば、ここのところ報道されている住宅市場の反発という「好材料」も一過性に終わる可能性は多分にある。


参照:「尾を引くネガティブ・エクイティ問題 2/17」

    「別レーンの住宅着工販売と住宅価格 7/28」 byカオス

そして差し押さえ関連という事で、bloomberg からJ・ワシック氏の記事(抜粋)


忍び寄る「ハウスプア」逆資産効果の現実


ホームエクイティ(住宅担保)による借り入れ余地がほとんどないか、住宅ローン残高がホームエクイティを上回る状況に陥っている数百万の人々は、売るに売れない住宅と前進を妨げる債務負担に縛り付けられている。彼らは何としても現金の蓄えを増やす必要に迫られているが、貯蓄することもできない。


友人や近所の人から住宅が売れないとか、適当な価格で買い手が見つからないという話を聞かない週はない。彼らは老後の生活資金や何とか暮らしていく費用として住宅売却代金を当てにしているだけで、船や大型テレビの購入、旅行を予定しているわけではない。米国人の大半が逆資産効果に苦しんでおり、貧困のにおいが忍び寄っている。


果てしないカオス


いわゆるハウスプア(住宅貧民)と呼ばれる人々は、ホームエクイティを使い切ったか、担保価値が十分でないため、住宅を担保に借り入れを行うことができない。大半は借り換えさえもままならない状況だ。これは、彼らがこれから家電の新製品を買うために店舗に押し寄せたり、大学の学費を賄ったり、老後のための十分な貯蓄をすることができないことを意味している。


カード負債の鎖につながれて


失業率が上昇し、主要産業の活動縮小が続けば、ハウスプアが全米の家計を荒廃させることになるだろう。担保価値を上回る額のローンから逃れられれば、最大2500万人の住宅所有者の暮らし向きも良くなるかもしれない。


クレジットカードの請求書が状況をさらに悲惨にする。総額2兆5000億ドルを超える消費者信用負債という鎖につながれながら、米国民は1930年代に匹敵する逆資産効果が招く苦しみの中で働き続けている。 (J・ワシック)


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