光源氏は「光くん」という名前の人物ではない。「光る源氏」は「尊い皇子サマ」という意味、本名はない | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

「光源氏って、光が名前で源氏が名字なの」

違います。

「源氏」というのは、ひらたくいえば「王子さま」という意味です。

天皇の息子のうち、序列が低い者は「源(みなもと)」の姓を賜って臣下の身分になります。どの天皇の息子も、みんな同じ「源」です。だから「源氏の君」と言ったら、源なにがしという固有名詞ではなく、「皇室から追い出された?王子さま」という意味の一般名詞なんです。

光る、は名前ではなく、形容詞です。美しい、カッコいい、尊い、という意味で、「光る君」というのは、「美しい王子サマ」という意味のニックネームというかキャッチフレーズみたいなもんです。

「光くん」という名前ではないんです。

源氏物語、というのも、作者(紫式部)がつけたタイトルではなく、自然にそう呼ばれているだけですが。この物語には固有名詞はほとんど出てきません。登場人物はみんな肩書か、ニックネームで呼ばれます。だから主人公の本名は分からない、のではなく、最初から「ありません」。

なお、「源光(みなもとのひかる)」という人物は、平安時代に実在しますが。

このひとは菅原道真の祟り?で溝にはまって溺死した、という人で。

源氏物語の主人公とは全く何の関係もありません。