藤原兼家は「リア王」に似ている。同じ段田安則だから、だけではなく。 | えいいちのはなしANNEX

えいいちのはなしANNEX

このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

藤原兼家(段田安則)がリア王、道兼(玉置玲央)がエドマンドを演じてるという舞台を、東京芸術劇場で観てきました。
感想は山程あるので、いずれ順々に語りますが。
ああ、リア王って兼家っぽいな、いや、兼家がリアっぽいのか? って思いまして。
その話を、します。
先週、「兼家のなき長女が産んだ居貞親王が東宮になった」って、いきなり言われて。えっ亡き長女なんていたの、今まで一言も言わんかったのに、と少々焦りました。
まあ、歴史を調べればどこにでも出てる話ではあるんですが。
光る君へ、は「ドラマ進行と関係ない人物は、混乱するから画面にも話題にも出さない。関係ができたときに出す」っていう方針なのでしょう。
とにかく、これで、懐仁親王が即位して「一条天皇」に、万一なんかあったとしても、兼家は依然として天皇の祖父(つまり外戚)として摂政関白の地位にいられるわけで。
剛腕ですね。

藤原兼家っていうのは、確かに権力欲の権化、ではありますけど。このひと極悪人ってわけでもないな、って思うことは結構あるんですけどね。道兼に「帝(円融天皇)に薬を盛れ」と命じたときも「弱らせるだけでいい、死なせるな」と言ったり、その後道兼が、女官をてなずけて薬を盛ったと報告すると「その女は大切にしてやれ」と言ったり(口封じに始末しろ、とか言うかと思ったけど)。
弘徽殿女御を「流産させろとは言ったが、死なせたのはやりすぎだ」と晴明を非難してみたり。
花山天皇を退位させた件も、確かに陰謀としては酷いけど、だれも死んでいないから「無血クーデター」と言えるかも知れない。
確かに、貴族は人を殺したら「穢れる」から、そこは一線を引いているのだ、という解説もありますが。
道長と二人のときは、何故か父親としてとっても親身だったするところを見ると、そんなに悪い人ではない、ように思えますが。

そんな兼家が、まひろの父の為時に対しては、なんであんなに執念深く怒るかなあ、っていうのが正直な感想ですね。自分の目が黒いうちは金輪際官職には就かせない、まで言うのは、結構異常な拘りだよなあ、なんでそこまで、って気がちょっと思うんですよね。やっぱ、なんか兼家には「スイッチが入ってしまう」ポイントがあるんだろうあな、と思えるんですよ。