花山天皇は「項羽型」の超攻撃型だ。でも歴史上は大抵ロクな目に合わず最後は「劉邦型」が勝つ。道長? | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

宮中の女房たちは、パーテーションで仕切られた「区画」を控室として持っています。このスクエアなスペースを「町」といいます。「町」つまり個室を与えられたキャリアウーマンが、女房です。

ちなみに「小野小町」というのは、小野氏出身の個室を持った女房、という意味の通称です(小は単にカワイイという意味かも知れないし、姉が大町、妹が小町、みたいなことかも知れません)。ちなみに小野小町や在原業平たち「六歌仙」とは、実は藤原氏に逆らって左遷された人達だ、という説があります(このはなし、もしかして機会があったらまたいずれ)。

今回、ああなるほどこれが「町」だな、という映像が出て来ましたが。このドラマの宮中女房たちの噂話パートは面白い。ギリシャ悲劇のコロスみたいな役割、舞台「アマデウス」の「風」と呼ばれる紳士二人、ああるいは「少女革命ウテナ」の影絵少女ですか。

まひろが、「私は殿方の目には絶対に止まらない自信があります」と言ったのにもは、思わず笑いましたけど。

皆さん当然、去年の秀忠(森崎ウィンさん)を思い出しましたよね。「豊臣秀頼と競ったら私は必ず負けます、負ける自信がある!」って。大河リレーってやつですか。

と思ってたら、月曜朝のラジオで滝沢カレンさんが「お正月におみくじ引いて何に気を付けろと言われても、すぐに忘れちゃう自信がある!」みたいなこと言ってて。

ああ、なんか、「やっても出来ない自信がある!」みたいな言い方が、おじさんが知らないうちに世間で流行っているのかな?

それはさておき。

「花山天皇の目に留まったら、ロクなことはない」というのが、源左大臣家の姫様、倫子さまの判断です。このひとは、勉強会でもちょいちょい嫌味なヒトですけど、基本的には頭いいですね。まあ、たぶん上手く人生を歩めそうですね。なにしろ黒木華さんですから。

いっぽう、井上咲楽さん(忯子)は大変そうですね。もう多くは言う必要ないくらい、さすが「キングダム」でもメチャクチャやった本郷奏多だ。

しかし、この花山天皇、おおかたの予想に反して? 天皇になった途端に側近固めて、いきなりヤル気を出してきて。

私はシェイクスピアの「リチャード2世」みたいだな、と思いました。

若くて意欲的で、周囲をお気に入りで固めて、重臣・長老を蔑ろにする君主、こういう王様(殿様)は「改革者として歴史に称賛されるか、潰されて暗愚の王のレッテルを貼られるか」のどっちかで、しかも成功率はとても小さい。前者で思いつくのは徳川吉宗と上杉鷹山くらいです。

私は人物を「項羽型」と「劉邦型」に分けるヤツなんですが。

花山天皇は、項羽型ですね。才気を前面に出しちゃうヤツ。

この系統は平清盛とか後醍醐天皇とか足利義教とか織田信長とか、だいたい、いい終わり方をしません。そして、劉邦型、つまりのらくらやってるうちに人望を集めるタイプに取って変わられます。

その代表が、どうする徳川家康であり、極楽征夷大将軍・足利尊氏であり、鎌倉殿の13人の源頼朝ですが。

どうやら三郎・藤原道長は、この系譜を受け継ぐ(じゃあなくて先駆というべきか)男のようだ、というのが、回を追うごとに分かってきました。

すいません、王朝絵巻のドラマであっても、私はやっぱり「天下取りゲーム」の話を中心軸に観るのが、好きなんです。