古代日本は朝鮮半島に進出していた、は大間違い。日本、なんて国家はまだ、ない。 | えいいちのはなしANNEX

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「古代の日本は、朝鮮半島の南端も領土にしていた」
この言い方は、根本的に間違っています。
何故なら、これはそもそも「日本」とか「朝鮮」とかいう国家の意識がない時代の話だから、です。
神功皇后三韓征伐、広開土王碑、この時代に関するあらゆる記述は、いずれも事実、または事実を元にした(膨らませた)フィクションかも知れないし、全くのフェイクかも知れません。
しかし、確かに言えるのは、その時代には「日本」なんていう国家はなかった、ってことです。
現代人がいうところの朝鮮半島または韓半島と、日本列島にいたのは、大きく見れば同じ括りに属する民族であり、それを漢人(いまでいう中国人)はざっくり「倭人」と呼んでいたんです。
だから、「日本が、朝鮮半島の南端を征服して領土にしていた」という認識は、誤りです。
可能性としては、「(いまでいう)朝鮮半島の南部にいた倭人の一勢力が、(いまでいう)日本列島にまで進出してきて、征服するなり同化するなりして、やがてヤマトというクニになった」と考えることもできます。実際、こっちのほうがストーリーとしてしっくりきますね。
英国とフランスの例もあります。イングランドという国は、もともとフランスの一諸侯だった者(ノルマンディー公爵ギョーム)が、ブリテン島を征服して王になった(征服王ウィリアム)のが始まりです。だから英国王家はもとは仏語を喋るフランス人であり、長くフランスのなかにも領土を持っていました(ジャンヌ・ダルクの時代あたりまで、ですね)。
ところが英国の一般人は今でも「イングランドは、昔はフランスを征服して領土にしていた」と思い込んでいたりします。
同じような話だ、と言っていいでしょう。
ヤマトが半島に進出したのか、大陸から進出してきた者がヤマトを作ったのか? まあどっちなのかはわからないとしても、似たような話です、どうせもとは同じ民族だと考えれば。
どっちにしろ、たしかなのは、主語は「日本」ではない、ってことです。