茶々が諱でないなら、大坂城では皆「茶々様」と呼んでいたのか? | えいいちのはなしANNEX

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茶々というのが「諱(いみな)」ではないなら、目下の者でも、みんな「茶々様」とか呼んでもいいのか?
それはもちろん、事実上の大坂城主である女性に対して、目下の家来が(たとえ諱ではなく通名だろうと)名前で呼ぶはずがありません。
家族や、よほど親しい相手なら通名で呼ぶ、普通の関係なら肩書で呼ぶ、貴人であれば居る場所が敬称になる。もっと貴人なら直接声はかけない。関係性で呼び名が変わるのは当然です。
「殿」とか「奥様」とか「おかみ」とか「上様」とか「公方」とか、みんな「偉い人の名前を呼ばずに済むように考え出された敬称」といえます。つまり、その人の居る場所、方向でぼかすわけです。
家来でも親しい関係なら「茶々さま」と呼ぶでしょうが、さほど親しくない目下の者は、たぶん「お方さま」でしょうか。大坂城の主の時代は「おふくろさま」という敬称もあったようです。
諱のタブーというのは、そういうのとは話のレベルが違います。口に出して呼んでいいのは天皇(または勅使や、朝廷の儀式)だけです。一般人は、目上だろうが親しかろうが、どんな場合でも面と向かって呼んではいけない名前です。