このディスプレイは、あ~。レコード録音したときのマイクロフォンですか。
それとディレクターズ・チェアみたいのが飾ってあるが。
なんか、隅の方に飾ってある、すぐかえってたら気がつかなかったとこだぞ、恵比寿ガーデンシネマ。
原題は「1900の伝説」。有名な邦題は「海の上のピアニスト」、まあ、このタイトルじゃあないと当たらなかったろうな。
名作とは聞いていたが、まだ観てなかったんで。
4Kデジタル修復だとか、イタリア完全版とか、なんか折角なので、この機会に是非観ておかねば。
てわけで恵比寿ガーデンシネマまで行ってきました。
いやあ、いい映画だねえ。名作だねえ。やっぱ海と音楽だねえ。
しかし、へんな話だねえ!
夢なのか法螺なのか、分かんないような。ラストなんて「えー、ほんとに?」みたいな状況で、ものすごく哲学的な話に。これはどういう意味の映画なんだろう、って頭フル回転で考えちゃう俺は間違っているのだろうか?
たぶんね、1900年という、主人公の名前にもなってる生まれ年に、意味があるんだよ。戦争を2回、経てるってことね(台詞でしか出てこないけど)。
そして、これが「欧州~アメリカ航路」の客船が舞台だっていう意味。船を降りる、ってことは、すなわち「アメリカ的な価値観で生きる」ってことなのかな。
だから、これはイタリア映画なんだろう。イタリア人から見たアメリカ、って感覚が分かれば、こいつらが一体何に拘って生きて?いるのかも分かるんかな。
この船の中は、いわば、自分が完全に支配できるテリトリーみたいなもんで。この中にいる限り主人公は無敵だ。外から「ジャズの帝王」が来ようが、録音チームが来ようが、船の上というホームにいる限り、主人公は自分を押し通せる。
いっぽう、船の外には無限の何かがある。未知の何があるか分からない。
これは、第二次大戦の結果飛躍的に台頭し、ヨーロッパを圧倒しつつある「アメリカ」そのもの、ということなんだろう。自分のキャパを遥かに超える環境に、ついに主人公は飛び込むことができない。彼はきっと、船を下りたらピアノが弾けないだろう。
そう思うと、悲しいよね。
なんか人によっていろんな解釈のある映画だと思うけど、とにかく何か解釈しないと気がすまなし。そんなお話でした。