「直虎」に出てきた六角さんは、鷹匠なのに、家康にやたら鋭いアドバイスをしてましたが。 | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

 六角精児さんが、「直虎」に登場してきました。ノブ、という名の鷹匠です。
 ものすごい賢者みたいな顔して、虎松の処遇について家康にアドバイスしてましたけど、動物の飼育係にしては、やけに賢いですね。
 もしかしたら、彼、そのうち側近に成り上がるんじゃないですか? えっと、名前が、ノブ?・・・あ、そうか、こいつが本多正信(マサノブ)か!

 虎松の「初お目見得」というのは単に殿様に会うだけではなく、「これで名実ともに主従になりました」という儀式、「家中に対する、新人のお披露目」という意味合いもあるかと思います。虎松のためにわざわざ屋敷で会議を招集するっていうほどの身分でもありませんから、ちょうど主な家臣が集合している鷹狩りの折が相応しい、ということだと思います。


 「一富士、二鷹、三茄子」って何のことか、ってのは諸説ありますけど、これは「家康の好きなものベスト3である」という説もあるくらいで、徳川家康は鷹狩りが大好きで、頻繁に行っています。


 家康の謀臣として有名な本多正信(「真田丸」では近藤正臣がやっていた、家康の知恵袋というより事実上徳川家を仕切っていた幕府創立期最大の功臣)は、鷹匠の出身です。
 ペット動物の飼育係が側近に出世するなんてそんなバカな、と思ったら大間違いです。鷹狩りというのは武家として大切な儀式であると同時に、家臣が全員集合する軍事演習であり、加えて貴重な領内視察のチャンスでした。


 家康がプロゴルファーだとすれば、鷹匠はキャディーです。つねに傍にいて戦術をアドバイスする。どうしたら獲物(敵)を追い詰められるかという戦術と同時に、家臣たちの動きを見て、あいつは有能だ、あいつは使えない、という会話もあるでしょう。家臣にとって、この軍事演習は実力テストでもあるわけで、その採点に関わる鷹匠は、家中の人事に発言権がある、とすら言えるのです。相当な洞察力が必要とされるポジションです。

まあもちろん、六角さんみたいな「スーパー鷹匠」が、どこの大名も持っているわけじゃない。家康、ラッキーです。