ヘンリー6世のサマセットがゲス野郎で素敵! | えいいちのはなしANNEX

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「ホロー・クラウン」のヘンリー6世(一部二部)でいちばんウマイと思ったのは、サマセットとサフォークを合体させたこと、ですね。
これで、ヨーク公爵の宿敵が、同時にマーガレット王妃と不倫関係、野心家で傲慢で権謀術数で色男でマッチョでズルいゲス野郎、という、ものすごく魅力的な役が出来上がったな。

シェイクスピア史劇、ただでさえ登場する貴族が多すぎる、英国ではみんな有名人なんだろうけど、日本人がやるなら整理しないとな、とおもってたんだけど。それをBBCがやる、国宝とも言えるシェイクスピアの原作をいじるとは!なんか、こういう「挑戦」にはワクワクする。「リチャード2世」でオーマールを暗殺実行犯にしちまったのに続くヒットだな。

もともとシェイクスピア原作からして、史実の親子を合体させて一人にしたり、ってことを結構やってるし(ヘンリー6世の最初に出てきたモーティマーとか、あれ、ヘンリー4世に出てきたモーティマーの、ほんとは息子?なのに、劇では同一人物になってる)。
史実より劇のダイナミズム、という「シェイクスピアイズム」をBBCは忠実に受け継いでこれを作ってる、と言っていいね。