ミケランジェロ・プロジェクトって、なんかジャッキーチェンぽくって愉快そうなタイトルだけど、これは邦題だ。原題は…何メンだっけか。
確かにね、ミケランジェロの母子像がメインのお宝だと見れば、うまいタイトルとも言えるんだけど。
こういう話って、歌舞伎でも山田風太郎でもジャッキーチェン映画でも、「お宝」という勝利条件がハッキリしている、てのが、気楽に見ていても面白い、ってコツだと思うんだ。初級のセオリーでしょ、それが。
でも、この映画、そうでもないんだ。ナチスが奪っていった何万点っていう美術品を、できるだけ取り返す。ミケランジェロもそのうちひとつに過ぎない。他の全てを焼かれてもミケランジェロさえ取り返せばいいって設定じゃないし、じゃあ何パーセント取り返せば彼らの目的は達成されたことになるのか分からない。
結局、彼らのミッションは成功だったのか?
母子像が戻ったから成功、っていう簡単な話じゃないと思う。
やっぱ、これ、戦争なんだよ。勝っても負けても、人は死ぬ。勝ったからって戻ってこない。それが戦争の宿命だ。それと、おんなじ。勝った勝ったとスカッとできる戦争映画なんて、そんなのきょうびないから。あったら嘘っぱちだから。
だからね、スカッとしないのは仕方ないんだ、多分。あははと笑ってられる話じゃないんだ。ほんとは。
…なんだけど、それにしては、観客をあははと笑わせようとしてる場面が多い。どうなんだろうなあ~て感じが最後まで拭えない映画でしたね。