「ブルー・ジャスミン」見てきました。ウディアレン監督。なかなか、曲者な映画です。 | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

写真とまったく関係なくて恐縮ですが、ウディ・アレン監督の「ブルー・ジャスミン」ようやく見てきました。

 ケイト・ブランシェット 、シェイクスピアがらみでエリザベス女王 の話をしょっちゅう書いてる 私としては、映画「エリザベス」の主演女優ですから、これは見ないわけにはいかないです。

 主人公ジャスミンは、大富豪と結婚して玉の輿生活を送っていたものの、その夫が詐欺で逮捕されて無一文になり、妹の住むサンフランシスコに舞い戻ってくるものの、セレブ生活の幻想から逃れられず・・・という、トホホな人生のお話です(この姉妹が、揃って「微妙に美人でない」というところが、まずトホホです)。

ジャスミンは、やることなすこと上手くいかずだんだん精神を病んでくる、という悲惨な話ですが、そこはウディ・アレンですから、なんか妙に笑えてしまう、という。と、そのうち、これはなかなか一筋縄でいかん話だぞ、というのがわかってきます。


 現在の悲惨なシーンと、過去のセレブ時代の回想が交互に出てくるんですが、回想が単なる回想ではなく、一種の「タネ明かし」になっています。彼女がなぜこういう人間なのか、今なぜこういう境遇になっているのか、という全体像が、映画の最初の印象から、だんだん、変わってくるんですね。最初は単なる「バカ女」に見えていたのが、そのうちだんだん、「ああなるほど、彼女には彼女なりの、譲れないこと、死守しなきゃならないものがあるんだ」「なるほど、それはこういう人生からきてるんだ」というのがわかってきて。

そうなると、夢よもういちどと、大嘘をついてふたたび玉の輿に乗ろうとするジャスミンを「笑って見ていられなくなる」んですね。


 これは、観客それぞれの人生観によって、かなり違ってくるだろうと思います。

 「ああ、バカだなあ」というまんまで観終わってしまう人も多いかもしれないけど。

 「人は、なんかを背負っている」というのがわかるトシになると、なんだか、彼女が他人には思えなくなりますね。