「トータル・リコール」は、最新鋭科学と旧態依然の社会体制が共存する、奇妙で懐かしい世界だ | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

 「トータル・リコール」のはなし つづき。「フォール」に乗って毎朝地球の裏側まで通勤(所要時間17分、ってスゴくね?)してる男が、主人公なんですけど。
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 この映画の主人公には、アメリカ映画には珍しく、ちゃんと妻がいます。貧しいながらも夫婦円満で、優しくて、あれ、アメリカにも宮崎あおいがいたのか?・・・そんなわきゃあないです(笑)。すぐに「とんでもないこと」になります。これはネタバレだから書かないとしても、アメリカ映画に優しい妻が出てきたら「おかしい、これは罠か?」と思わなければいけない、わけです。たいへんだなあ。
 ところで、こんな「フォール」みたいなとんでもない機械を作っちゃう人類なのに、ブリテン連邦の工場はいまだに旧態依然とした「マンパワー頼み」の手作業のベルトコンベア(こそないけど、それに類する)工場です。その工場で作っているのが「最新鋭の全自動ロボット兵」なのだから、なんだかものすごく間抜けでバランスの悪い社会だと言わざるを得ません。全自動のロボットを手作業で作るために大量の労働者が地球の裏側から通勤してる、ヘンです。あからさまにヘンです(笑)。どうしてこのヘンさに誰も気付かないんだろう。

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 貧民の住む「コロニー」の風景が、漢字、カタカナ、ハングルが氾濫する「あからさまなアジア」なのも、むしろなんだか微笑ましい。
 原作は、たぶん一昔、いや、二昔まえの価値観で書かれた小説なんだろうな。どうなんだろ。とにかく、最新の超絶CG映像を見たにしては、なんかいちいち「子供の頃に親しんだような懐かしさ」を感じてしまう、そんな映画です。まるで「少年ドラマシリーズ」の時代のSF。これって、いいことかもしれません。
 
 「天地明察」「ダークナイト・ライジング」「踊る大捜査線ファイナル」の話をまだちゃんと書いてません。近日中に。