「十三人の刺客」の松平斉韶(稲垣クン)を、私は支持するな。 | えいいちのはなしANNEX

えいいちのはなしANNEX

このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

「十三人の刺客」の稲垣吾郎の芝居を、私は支持したいです。
 「異常な殿様」をもっと異常にやれる「達者な」俳優は、は、ほかに沢山いるかも知れません。
 でも、この物語の松平斉韶は、「見るからに明らかな異常者」ではダメなのです。何故なら、兄の将軍(家慶らしい)は、彼の異常に全く気付いておらず、むしろ「頼もしい弟」くらいに思っているわけですから。
 いわゆる「個性派の怪優」をここにキャスティングしまうと、異常なところをいかにも異常にやってしまいそうです。しかし、それは逆に物語のリアリティを殺ぐのです。「十三人」が芸達者揃いならなおさら、彼らと同じ土俵に降りたら「負け」なのです。十三人合わせたより大物だ、くらいに見えることが理想です。つまり、この役は設定と脚本で充分すぎるほど異常なのだから、逆にこの役は抑制を効かせなければならない、「へんな芝居をしすぎない」くらいのほうがよいのではないかと思うのですよ。

 「端正で、一見凛々しくて、実はものすごく異常」という針の穴を通すようなセンをつかなけでばならない。その意味で、稲垣きんは絶妙な線をついて成功してると思います。
  最近の稲垣くんは、真面目な映画からスマスマの再現ドラマまで「境界型の異常者」が多い。これがうまくハマっています。吾郎ちゃんは「鉱脈をアテた」と言えるでしょう。

(註・最初、褒めるつもりで勢いでいろいろ書いたら「けなしてるようにしか見えない」というご批判をいただきました。確かに。これはまったく本意ではありませんので、訂正してお詫びします。オレ、あの稲垣クン大好きですよ、はい)


えいいちのはなしANNEX-hp02 えいいちのはなしANNEX-hp01