龍馬が生きていたら、日本は変わったか? | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

京都四季劇用のディスプレイ、野獣がカワイイ。ベルは・・・ちょっとオリエンタルな気がするんだけど。

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歴史イフもの、という分野がありますが、ここで人気があるテーマのツートップは、「本能寺で信長が死ななかったら」と「坂本龍馬が暗殺されなかったら」でしょう。単純に「歴史上人気のある人物のツートップ」だからでしょうが、どちらも途中で「横死」しただけに、死なずにいたらどんな立派なことができたか、という想像がしたくなるのは分かります。
ただ、この二人は途中で死んだからこそ人気がある、ともいえます。人生の醜いところを晒さぬうちにいなくなったほうが、人気の面では「有利」です。「長生きしてたら、そんな人気者ではいられなかったよ」とも言えます。

歴史というのは、誰かが死んでも、必ずそれに代わる誰かがどこかから現れて、やるべき仕事をするものです。「そういうもんじゃあねえかな」と勝海舟が言ってました(「JIN-仁」の小日向文世です)が、基本的にはそうだと私も思います。維新が早くなったり遅くなったり、ましてや国の形が変わっていたり、ということはありません。たぶん。
たとえば、織田信長が突然消えたので、豊臣秀吉が彼のやる仕事を代わりにやったのです。信長は生きていれば必ず大坂に城を作り(適地はここしかありません)、日本平定後は大陸に出兵したはずです。
徳川家康が仮にどこかで横死していても、やはり他の誰かがでてきて家康のような仕事をし、江戸に政権を作ったでしょう(これも、適地はここしかありません)。「江戸幕府」が「徳川幕府」でなく「〇〇幕府」になるだけの話です。「誰? 上杉?伊達?」などと問うのは意味ありません。その人物はおそらく、家康が消えない限り歴史の表舞台に出なかった名前です。
同じように、龍馬がもっと前に死んでいれば、代わりの誰かが薩長同盟を仲介していたでしょう。また、あの時点で死んでいなければ、たぶん政治家にはならず、海運業を広めて財閥を作っていたかも知れません。
とすると、現実の歴史で龍馬の代わりの仕事をしたのが、岩崎弥太郎、ということになるでしょう。
岩崎は海援隊の遺産を引き継ぐ形で商売を始め、やがて土佐山内家の家紋「三つ葉柏」を抽象化した「三菱」のマークを押し立てた商会を、財閥に育て上げました。この仕事は、生きていれば龍馬のやったことかも知れません。ただし、「政商」の代名詞として、さしもの龍馬にもけっこうダーティーなイメージがついたかも知れませんが。いずれにせよ龍馬が生きていれば、岩崎弥太郎は出番がないか、あるいは生涯龍馬の部下に終わり、歴史に大きな名を残していなかった、ということもありえます。
もし龍馬が暗殺されなければ、三菱財閥の創始者は坂本龍馬だったかも知れません。それだけのことで、今の日本の在り方は変わらなかったと思います。東京三菱銀行や三菱商事、三菱地所の社長室に飾ってある(であろう)創業者の肖像画が、晩年の龍馬のものになっており、浦和レッズのサポーターが龍馬の似顔絵の旗を振っている、かも知れません。龍馬がそれでも大河ドラマの主役になるほど人気者でいられたかどうかは別の話ですが。