コトハの家族に絶対に嫌われたくない一心で家の前まで来てしまった。
家の前でつないでいた手を離した。
「俺の願いを一つ聞いてくれる? 」
俺は、コトハの目をじっと見て言う。
うん、とこっくり頷いてくれたから。
「一回だけ、ギューッしていい?」
コトハの背中に手を回す。
すっぽり、俺の胸の中に納まるコトハ。
ギュ―っと強く抱きしていたら、
「じゃあ、私もお願いしていい?」
「なんでも」
「ハルトの手で、私の右頬さわって。」
少しコトハの声が 震えていた。
「また煽るつもり?」
「ちがう、、、さっきはぐれた時に、知らない男の人に右のほっぺ触られたから。。怖くて、気持ち悪くて、ハルトの手で上書きしてほしいの」
コトハは、俺の胸のあたりから顔を上にあげて、お願いしてきた。
この角度やべー。
俺は、ギュ―の力が強くしていき、顔をコトハの肩にうずめた。
「イキ・・・苦しいよ」 というコトハもかわいくて。
俺はゆっくり離して、コトハのマスクをそっととった。
そして自分のマスクも取った。
俺がゆっくりと両手でハルトの頬を包む。
「目をつぶって」 と入れは言った。
コトハは、ギュッと目をつぶる。
その顔がかわいくて永遠に見てられる気がした。
俺は、そっとコトハの頬にキスをした。
俺は、コトハのほっぺから唇を離してもう一度、ギューッと抱きしめた。
ゆっくり、コトハから体を離した。
「よし、謝りにいきますか」 とマスクを口元に戻した。
「本当にすみませんでした」
と頭を下げた。
「今日からお付き合いさせてもらってます。柏木ハルトです。よろしくお願いいたします」
玄関にコトハのお父さんとお母さんにまた頭を下げた。
「じゃぁ、ハルトくん送ってくるわ」
車のキーを取り出しながら、コトハのお父さんは言う。
「大丈夫です」と俺は言ったのだが、そんなわけにはいかない・・・ということで送ってくれることになった。
「
なぜか、コトハのお姉ちゃんも一緒に乗ることになった。
「私も行く」
とコトハも言っていたけれども、絶対疲れているし、
お父さんと俺の間で気を使ってくるのが目に見えていたから、
「大丈夫」と小声で答えた。
「ありがとうございます」
ぼくは、コトハのお父さんの車に乗りながら言った。
「部活とかやってるのか?」
お父さんは聞いてきた。
「中学までは、バスケ部だったんですけれども、じん帯怪我して、高校ではしてません。軽い運動ぐらいなら大丈夫なんですけれども、俺、、部活だとむきになっちゃうんで」
そんなたわいのない話をしていた俺ら、急にコトハのおねえちゃんがぶっこんで来た。
「ハルトくんにとって、コトハは何人目の彼女?」
「初めてです」
「じゃあ、ハルトくんとコトハのどっちから好きになったの?」
「俺です。一年生の時からいいな・・・って思っていて、2年で同じクラスになって、一緒に体育祭実行委員して、ガチ惚れなんで、今日告白しました」
グイグイ聞いてくるコトハのねえちゃん。
俺が絶対好きにならないタイプ。
コトハと正反対だ。
「すごい!!ガチ惚れねぇ。いいな・・・そんなこと彼氏にいわれたことないなぁ」
「お父さん!俺、将来絶対にコトハさんと結婚したいです。
俺の父親は、食品メーカーの社長をしているんです。スイーツ開発部門があって、いつか俺もその会社に入って、コトハさんが食べられるスイーツ開発します。砂糖を使わないスイーツ。黒糖とかはちみつだけのスイーツを絶対に作ります」
お父さんはそっか・・・頑張ってと言っただけだった。
けれどもその声は優しくて、マスクで口元は見えなかったけれども、目は笑っているようだった。
「もしかして、結婚を前提にお付き合いしてください!ってコトハにいったの?」
ねえちゃんは、あきれながら言った。
高校生でプロポーズされてもな。
「言ってないです。俺のスイーツ開発の夢も内緒にしてください。どう作るのかも知らないですし、でもいつか絶対にコトハさんがしんどくないスイーツ作ります。」