"We need to wash our hands of this right now, before it gets back to us."
"Wash our hands of this? Peter, blood doesn't wash out, it stains, which is why we keep moving forward."
「今すぐ手を引かないと。自分達に跳ね返ってくる前に。」
「手を引く?ピーター、血は洗い落とせないわ。シミになるのよ。だから私たちは前に進み続けるの。」
(Designated Survivor Season 1 Episode 11より)
今回は「構文(constructions)」のお話です。
認知言語学の世界では、GoldbergやLakoff、Kay、Fillmoreといった学者が「構文文法(Construction Grammar)」という考えを提唱しています。専門的なところを崩して、あくまで時吉風にわかりやすくその考え方を一言で言うと、
「単語に意味があり、そして、熟語にも意味があります。しかも熟語には構成する単語の意味を超えた固有の意味が備わっています(例:take(取る)+place(場所)→ take place「起きる、発生する」)。これと同じように、構文にも構成する単語の意味を超えた固有の意味が備わっています。」
という主張だと考えてもらうと良いと思います。
例えば二重目的語構文(いわゆる第4文型)で動詞が使われると、元々「渡す」イメージなど持っていない動詞にも、「渡す」という意味が付加されます。
I made a sandwich. 「私はサンドイッチを一つ作った。」
→makeには「作る」という意味はあっても「渡す」という意味はありません。これを二重目的語構文で使うと・・・
I made Alex a sandwich.
「私はアレックスにサンドイッチを一つ作ってあげた。(作る+渡す)」
他にも
I bought him a drink.
「私は彼に一杯おごってあげた。(買う+渡す)」
I threw Jim a ball.
「私はジムにボールを投げて渡した。(投げる+渡す)」
単語や熟語と同様、構文にもそれ自体の意味があるのです。
今回紹介する構文は
S V O of 〜:「出て行く、出てくる」
を意味する構文です。ofの「取り出す」という根っこのイメージが「出てくる」「出て行く」という意味を出していきます。
This song reminds me of my school days. 「この歌を聴くと、私は学生時代を思い出す。」
this songがmeにremind(思い出させる)という力をぶつけると、meからmy school daysという記憶が「出てくる(of)」のです。直訳は「この歌は私に学生時代を思い出させる。」
They cleared the road of snow. 「彼らは道から雪を取り除いた。」
theyがroadに対してclear(除去する)という力をぶつけると、the roadからsnowが「出ていき(of)」ます。
Someone robbed him of his money. 「誰かが彼を襲って彼の金を奪った。」
someoneがhimに対してrob(強奪する、襲って奪う)という力をぶつけた結果、himからhis moneyが「出て行き(of)」ます。
The king deprived his people of their rights. 「王は国民から権利を奪った。」
the kingがhis peopleに対してdeprive(奪う)という力をぶつけた結果、his peopleからtheir rights(彼らの権利)が「出て行き(of)」ます。
上記の例で見るとわかる通り、remindを除けば、いずれも「離す、奪う」といういったイメージを持つ動詞がこの構文でよく使われます。この構文は「出てくる、出て行く」という意味の構文ですから、動詞と構文には相性があるわけです。
そして、今回のブログの冒頭に出てきた「wash our hands of this」(ここから手を引く)です。よく考えたらwashは「洗う」ということですから、「洗い落とす」つまり「離す」イメージを持った動詞です。ですから、この構文で使われるわけですね。
こういった構文には他に
V O into 〜:「説得して、言いくるめて、騙して〜させる」
例:She talked me into buying a set of encyclopedias.
「彼女は私を説得して百科事典一式を買わせた。」
V 人 with 物:「人に物を提供する」
例:They provide us with money and shelter.
「彼らは私に金と住むところを用意してくれた。」
例:The Middle East countries supply our country with oil.
「中東諸国は我が国に石油を供給する。」
などがあります。