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福島第一原子力発電所の事故についての解説と自分でできる対応策 その10

前回は放射性物質の広がり方についてお話しました。
かんたんに説明すると
「現時点では空中から放射性物質が広がってくる」という話でした。
では、気体となって出てきた物質がどのように広がっていくのか
もう少しくわしく見てみましょう。



風向きについて


燃料の温度はものすごい高温なので
放射性物質は気体となって原子炉の外に出てくるわけですが
たいていは原子炉の外にもくもくと出てきたあとに
空気で冷やされて固体になります。

ものすごーく小さい固体なので目には見えないぐらいです。
そうした小さいつぶが空気中の塵(チリ)などとくっついて風で舞ってくるわけです。
ということは、
原子炉付近から風に乗ってどのように飛んでくるのかが重要というわけです。

幸いなことに
福島第一原子力発電所は太平洋沿いにあります。
今までの季節は、
日本は偏西風(へんせいふう)という中国の方から吹いてくる風のおかげで
だいたい西から東に風が吹いています。

そのおかげで出てきた放射性物質の多くが太平洋の方に飛んでいきます。
他の地域に迷惑をかけてしまっているわけですが、
日本列島への影響はすごく少なくて済んでいたわけです。

でも、風向きが内陸の方へ向くときだってもちろんあります。
特に夏になると太平洋側から風が吹くようになってきますので
そうなってくると内陸に向かって放射性物質が飛んでくる可能性が高くなるわけです。
薄着になってくる季節でもありますから注意が必要ですね。



風のたまり場(ホットスポット)について


さて、世界的な風の動きということで大きく見ると
冬は北西から、夏は南東からという風向きになるわけですが
実際には風というのはもっと複雑な動きをしていますよね。
山や海などの地形が影響することで
風が吹きやすい場所などもあるわけです。

最近テレビなどでもよく比較に取り上げられる
25年前におきた旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故ですが、
風向きによって被害に大きな違いが出ました。


$うつ病に立ち向かうブログ-放射性物質の沸点

この図はチェルノブイリ原子炉からの距離で
どのくらい影響があったのかを示しています。
300km近く離れていても原子炉付近と大きく変わらない影響を受けている場所がありますよね。
こういった風向きの影響で放射性物質が
たくさん来てしまう地域を「ホットスポット」と言うそうです。

ちなみにこの図を日本地図に重ねてみるとこのような範囲になります。

うつ病に立ち向かうブログ-汚染範囲

あくまでチェルノブイリの被害を日本地図の大きさに重ねただけで
これだけの範囲が被害にあうということではありません。
ただ、風向きでこれほど影響が違うんだというですね。

福島県内で放射線量を比較したときに
60km以上離れた福島市の放射線量が、原子炉にもっと近い地域より高くなったのは
風向きの影響で福島市の方角に放射性物質がたくさん来てしまったということですね。


実はこうした風向きの影響を計算して
どのように放射性物質が流れるのかを予測するシステムを日本は持っています。
「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」というものです。
名前はわかりづらいですが
ようするに天気予報のような感じで放射線量を予測してくれる機械ですね。

ただ、こうしたデータというのはとても計算が難しく
公表することでかえって混乱をまねく可能性があると考えたのか
政府は3月23日に一度だけ公開して、それ以来SPEEDIの予測データを発表していません。
ちなみに、これが3月23日に公表されたSPEEDIの予測です。

$うつ病に立ち向かうブログ-放射性物質の沸点

この図からも
風向きの影響というのは非常に大きいのだなということがわかります。


そしてもうひとつ大事な気象条件があります。
それが「雨」です。

空気中をふわふわとただよっている放射性物質ですが
雨が降ったらどうなるでしょう?

簡単ですよね。
雨粒にくっついて地面に落ちてくるわけです。
ですから雨が降ったあとは放射性物質の量が増えるんです。
そしてそのまま地面に落ちて地面にしみ込みます。


以上のことから注意しなければいけない3つのポイントがわかります。

・原子炉付近の放射線量
・その日の風向き
・降水確率

「原子炉付近の放射線量」というのは基本ですね。
出てくる量が増えてないかをチェックするわけです。
出てくる量が増えたら飛んでくる量も増える可能性があがるわけですから
まずスタート地点からチェックしましょう。

こちらのホームページでは原子炉付近の放射線量がグラフで見ることができます。
参考にしてみてください。

次にその日の風向きですが
細かい風の動きとかを素人が見てもわかりませんから
ざっと福島からどっち側に風が吹いているからだけチェックしましょう。
http://atmc.jp/jma/?m=wind&u=/jp/windpro/
http://weathernews.jp/map/

福島から東京までで200kmほどありますが
風が福島から東京に着くまでに6時間~12時間ほどかかるそうです。
自分の住んでいる地域に影響がありそうかを
天気予報を見るぐらいの感覚でいいので気をつけてみましょう。

自分が住んでいる地域が原子力発電所からどのくらいの距離なのかは
こちらのホームページで計算することができます。



最後に雨ですが
これはいつもどおり天気予報を見ておけばいいでしょう。
なるべく雨の日の外出は避けた方が無難(ぶなん)ですが
それほど深刻な地域でなければ
傘やかっぱなど濡れない準備をしておけば大丈夫でしょう。

雨にぬれてしまうと
一緒に落ちてくる放射性物質が直接肌に触れる危険性がより高くなります。
ですから雨の日ほど帰宅時のシャワーなどを心がけたほうがいいでしょう。


こういった話は
あくまで降ってくる放射性物質の量が多くなっていればの話ですから
自分が住んでいる地域の放射線量もちゃんとチェックしておきましょう。

こちらのホームページでは政府が発表している
全国の放射線量をグラフで見やすくしてくれています。
他にも自分の住んでいる県のホームページなどに行けば
その日の放射線量が公開されています。

今後は燃料が冷やされるにしたがって
気体として広がってくる放射性物質の量は減ってくるでしょう。
しかし数日前の大きな余震のときには
燃料が50分間冷却できない事態になりました。

今後もこうした事態が起きれば
外に出てくる放射性物質の量はまた増えることもありえるわけです。
こうしたことからも、
原子炉のニュースには最低でも一日一回目を通すことが大事だといえます。



次回は
内部被ばくについての対処法についてご説明します。