4倍のクオリティを目指す | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


イノベーションを起こすには、普通では手が届かない目標を設定しないといけないと言われます。
その背景には、手が届く目標では、達成への取り組みも現状の延長線上となってしまうため、新たな発想が生まれづらくなるという側面があるのではないでしょうか。

リクルーティングで学生さんと議論するときに、「ある企業の売上を2倍にするには?」というお題を出すことがありますが、それも同じ視点に基づいています。
10%増やすには?」では、現状の延長線上のありきたりな打ち手しか出てこないため、発想力や思考力を見ることができません。


手が届かない目標設定で思い出すのが、私自身が今のファームに入った当時に設定した目標です。

努力と結果が重要な世界だということも理解をしていましたし、やる気もみなぎっていたので、「他人の4倍のクオリティの仕事をする」を目標に据えました。

その達成のために考えた打ち手が、「他人の2倍の時間働く」×「時間当たりの効率を他人の2倍に上げる」でした。

実際には、他人の2倍働くという目標は、けっこう大変でした。
そもそもコンサルタントが長い時間働く人が多いので、平日は夜3時ぐらいまで、土日もコンスタントに仕事をしても、なかなか2倍にはなりません。
今も土日も含めて睡眠時間が4時間半程度なのは、このときの習慣が残っている気がします。

時間あたりの効率は、とにかく過去のアウトプットを蓄積して、他人が考えたことあるものは借用し、その上に自分の検討を上乗せすることで、時間当たりの効率を最大化させようと努力をしていました。

結局、4倍のクオリティまでは実現できていなかったと思いますが、かなり高い評価はもらっていました。

当時はそうした取り組みを本気でしていましたが、マネージャーになると2倍働いたからチームのクオリティが2倍になるわけでもなく、むしろ逆効果のこともあるので、今はそうした意識をしなくなりました。

ただ手が届かない目標でイノベーションの可能性があるのであれば、もう一度4倍のクオリティを目指して、新たな方法論を考えてもいいかもしれません。