「午後の紅茶ストレートプラス」の陥ったワナ | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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昨日、特保のヘルシアの話が出たので、特保つながりで、今日コンビニでお昼に買ってみたキリンビバレッジの「午後の紅茶ストレートプラス」を取り上げてみたいと思います。
(昨日のヘルシアの話はこちら 。)

外資系 戦略コンサルタントの着眼点-午後の紅茶SP

この商品は、「糖の吸収を穏やかにする」ことをうたい文句に、昨月発売された商品です。特保流行りの昨今にあわせて出してきた商品です。

キリンビバはこれまで特保の有力商品を出していなかったため、初の大型特保商品になります。
キリンビバの商品の中で、
もっとも知名度のある午後の紅茶の力を借りて売っていきたいという思惑も見えます。

このキリンビバの戦略は正しいのでしょうか?

有名なブランドに特保機能を付け加えたという点で言えば、サントリーの黒烏龍茶なんかはその代表格です。もともと知名度の高かった「サントリー烏龍茶」に、脂肪の吸収を抑える機能を付加し、見事に成功を収めています。

同じような手を打ったキリンビバも成功するでしょうか?

個人的には、この点について懐疑的です。

そもそも
紅茶というのは、「リラックス」とか「ゆとり」、「安らぎ」を連想させる、気持ちに訴えかける商品です。一方で、ペットボトルの緑茶とか烏龍茶は、「のどの渇きをいやす」とか「リフレッシュ」するとか、どちらかというと機能的な意味合いを持っています。

ヘルシアや黒烏龍茶は、そういったもともと機能的な飲み物に、さらに「やせる」という機能価値を付けたため、商品イメージとしても整合しやすいといえます。

一方、
午後の紅茶の場合、癒されたいというような情緒的な商品に、「糖の吸収を抑えて健康になる」という機能的な価値をつけており、イメージが一貫しづらくなっています。

さらに、
2030代の女性の飲用が多いと推測される午後の紅茶に、中高年の糖尿病予備軍が飲みたいと思う、糖の吸収抑制の機能をつけた点についても、ターゲットがブレてしまい、2重に成功を難しくしたように見えます。

キリンビバの商品に対抗して日本コカコーラは、「からだ巡茶」の派生商品として、同じ特保機能を持たせた「からだすこやか茶」を発売しました。こちらは、商品コンセプトともうまくあっています。

外資系 戦略コンサルタントの着眼点-すこやか茶

最近のCMを見ても、「午後の紅茶ストレートプラス」はあまり訴えかけられないのに対し、「からだすこやか茶」は、“うーん、これは飲まないとまずいな”と思わせる凄みがあります。(CMは各社のHPでも見れます。)

しばらくすれば、結果が出てくると思いますが、私には、キリンビバが苦戦する姿が見えてなりません。