出張から帰って来た。

2週連続はさすがにしんどい。
といっても、来週も出張がある。

ただ出張だけならまだ耐えられる。
問題はB部署業務の兼務だ。


この部署に深く入り込んでから、

しんどくなった。

見たくないものが

見え始めたのだ。

外からは平穏に
見えていた部署が、
中に入ってみて初めて
その病巣に気づいた。

それは、部署だけでなく、
本部という巨体にも
巣食っていた。

閉鎖した関連施設から来た
高齢者層がゾンビ化している。

彼らと同じ年代の施設組でも
転職した人はいる。
しかし本部に来た施設組は
覇気もなく、ただ一日を
消化している。

結局、この施設組を
人事から押し付けられ、
本部は人がダブつくようになった。

彼らのためにわざわざ、
仕事という名のハリボテを
こしらえている。

本来は不要なのに。

なぜ彼らは、そこに居座るのか。
その理由は、評価に関わらず
数年間は年収が維持されるという、
いびつな特殊契約にあった。

会社が突然の閉鎖をしたため、
その罪滅ぼしなのか、
いったい何を恐れたのかは、
全くわからないが、この愚案が
実施されてしまったのだ。

施設組の若い人たちは、
まだ年収がそれほど高くないので、
維持されるより転職した方が
給料は上がる。

ただある程度年齢が行った
施設組はよほどの目的意識が

ない限り、この温い泥から

抜け出そうとはしない。
特に元グループ長などの
管理職経験者は、
そこそこの年収が、
目標の達成如何に関わらず
保証されている。

この事実を知っている人は
施設組本人たちと、
上層部の一部だけだ。

自分は、口の軽い本部長が、
調子に乗って滑らせた一言で、
この闇契約を知ることになった。

もし本社の若手がこれを聞いたら
どう思うだろうか。

一生懸命管理目標を立て、
その達成度で、年収が変わって

来るのに、彼ら「施設組」は、
ガツガツすることもなく、
「やっている感」を薄く
漂わせるだけで、
その高給が維持される。

個人的には、彼らがどうあろうと
構わない。だが、できれば
全員を本部直轄にしてほしいのだ。

部署に組み込まれると、
彼らを動かすことも、
若い才能を起用することも、
人数制限という名の枷(かせ)
によってできなくなるからだ。



今一度、本部改革を振り返ると、
本部長の好き嫌い人事から、
好きな人を自分自身のそばに

固めたと言う点。

それによって引っこ抜かれた穴に
自分のような便利屋が
それを塞ぐために
東奔西走しなければ

ならなくなった点。

そして最大の不備は
人事にいい顔をするために、
まるで外国人労働者でも
引き受けるかのように、
特殊契約の「施設組」を
抱え込んだことだ。

AIによる効率化が進む今、
もはやこのような人々は
余剰でしかない。

出張が疲れるのは、
単なる長距離移動が
原因でなく、そう言った
施設組を連れて行って、
彼らの「やってる感」から、
先方に余計な誤解や

いらん一言を生み、
フォローをしなければ

ならないという事が

良く起こるからだ。

人数が増え、

組織が非効率化する、
まさに典型的な病理だ。

残念ながら、

本部長が変わってから、
改革は悪化の一途を

たどっている。

そして2月、

今度は何も知らされていない
A部署グループ長のA子さんが、
辞令を言い渡される。
うちの業務パートナーを
A部署のグループ長にするためだ。

気づけばB子さんとアナも
仕事のやり方で、
険悪な仲になっていた。

そんな事、知らんかったよ。

ああ、もう消えたい。
どこかに消えたい。