$R40 無名バンド NYへ行く



 ブッキングするにあたっての第一歩は演奏する店を探すことだ。

 オレはとりあえず本屋でガイド本を立ち読みしてみた。


 有名どころでは「地球の歩き方」「個人旅行」など、NYのガイドは多数出版されている。

 本によって差はあるが、エンターテイメントのコーナーにライブハウスが紹介されている。紹介されているのは比較的有名かつ歴史のある店のため素性が知れているので安心だ。なぜ歴史のある店かというとガイド本の情報は、基本的に旅行者からの情報を集めて作っているため、おのずと古い店が多く掲載されることになる。

 注意点は全てのガイド本にライブハウスの情報が載っているとは限らないこと。しかも同じ地球の歩き方にしても年度版によってライブハウスのコーナー自体があったり無かったりする。(ガイド本は1~2年ごとに内容をリニューアルしている)
 ブロードウェイミュージカルやジャズと違い、ロックなライブハウスは一般的な旅行者にとってはアンダーグラウンドなものなのであろう。


 ガイド本を購入する際は、中身をよく確認してから買うことをお勧めする。個人的には「ロンリープラネット」の掲載店が一番多かったのでよかった。ただしページを開いてみるとすぐにわかるが、他のガイド本とは異なり、写真が以上に少なくて文字ばかり、音楽漬けの人間には難しそうな印象があるかもしれない。しかしながら、同じような厚さで他よりも文字が多いということは、すなわち情報量が多いということだ。地図や他の情報も充実しているので、現地に行ってからも重宝した。

 ちなみに、旅行好きの方なら周知の事実だが、ガイド本の情報は100%正しいとは限らない。微妙な地図の間違いだとか、いざ行ってみたら閉店していたなど、それほど珍しいことではない。

 さっきも言ったようにガイド本は旅行者の情報をもとに成り立っている。実際の物事は日々更新されているのだ。




<マンハッタンだけがニューヨークではない>

 ガイド本の上で、NYとは主にマンハッタン地域のことを指している。それはタイムズスクエアやブロードウェイ、有名美術館など多くの観光スポットやホテルがマンハッタンにあるからだ。
 しかし、正確なニューヨークシティ(NYC)とはマンハッタンだけではなく、ブルックリンやクイーンズなどの周辺エリアも含まれる。そして、後々調べてみるとわかるが、皆さんがライブをやろうとしている店は、


 マンハッタンにあるとは限らない。


 近頃ではブルックリンやウィリアムズバーグなどにもお洒落な店など増えているので、そういったエリアの地図などを掲載しているガイドも増えているが、マンハッタンにしぼった内容の本も多いため、購入の際は注意が必要だ。

 日本のライブハウスにブッキングを依頼する際は、一部の何でも来たれ系の店を除いて、何らかの形で店の担当者に音源を聴いてもらう必要がある。(企画や貸切は別)
 自分たちの音源を入れたCDを持っていったり、最近だと音源をUPしたWEBサイトのアドレスを伝えたりしなくてはならない。

 根拠はなかったが、オレはNYも日本と同じステップが必要だろうと判断し、以下のような作戦を立てた。



※ライブ決行は翌年の2~3月を目標とする。

(1)国際郵便でCDと手紙を送る。
    ↓
(2)返事を待つ。
    ↓
(3)CDを送った店のうち返事のないところにメールする。
    ↓
(4)メールでやりとりする。
    ↓
(5)CDを送った店のうち返事のないところに電話する。
    ↓
(6)電話でやりとりする。



 ちなみに当時の日本のインディーバンド界は、自分たちのホームページを作るという習慣はあったものの、MySpaceなどといった簡単に音源をUPできるサイトはあまり浸透していなかった。

 我バンドに限っては、オレが自分でサイトを作り、そこに音源をUPしていた。しかし、当時の日本ライブハウスは、「WEBで聴ける」とオレが主張しても「音源を持ってきてくれ」と口を揃えて言ったので、オレはNYもおそらく同じ事情だろうという考えに至っていた。


 最近は新規の日本のライブハウスを開拓していないため、最新の事情はわからないが、名前を聞いたこともない店から「音源を聴いたので出演しないか」なんてメールがくるくらいだから、ライブハウスへのネットの普及率は相当なものなのだろう。


 作戦について、オレは極力(4)の時点でブッキングを決めてしまいたかった。その理由はもちろんオレの語学のレベルだ。メールなら時間をかけて訳して読んで、文を作って返信すればいい。時間を稼げるのだ。電話はそうはいかない。こっちは自己紹介でさえたどたどしいのだ。まともに交渉できるとは到底思えなかった。



 次回から、詳細を、調査編、郵送編、メール編、電話編とわけてお届けしていきます。

 とりあえず、電話編って言ってるくらいだから、交渉はメールだけで終わらなかったということ。
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 一年弱の勉強で、どれぐらいオレは英語を習得したのか?

 所詮は週一回のスクール(フリートーク)で、家での勉強も、スクールに行く前にその日になにを話そうかとネタを考えたくらいのものだ。英語が身についたというのはあまりにもおこがましい。

 文章なら、講師のチェックなどもあり、かなりまともなものを作れるようになった。後に郵送やEメールでやりとりをする際には、時間はかかれどあるていどのやり取りができる算段がついた。

 問題は会話だ。当時のオレのレベルをわかりやすく言うと、


 アメリカ人の2~3才児程度といったところだろう。


 事前準備なしで単語が4つ以上つながる文章をキチンと伝えられる自信はなかった。ただしオレは先述しているようにネイティブな会話までしようとは思っていなかった。ライブができればいいのだ。

 オレがいざ会話のときに使えるようになったのは以下のパターンだけだ。



<簡単な自己紹介>

Hi.  やあ。
My name is ○○.  私は○○です。
I from Japan.  日本から来ました。



<もっともオーソドックスな組み合わせ>

主語+動詞+補語
This is my equipment.  これは私の機材です。
You are great.  あなたはイカしてる。



<質問及び、疑問詞を使う>

動詞+名詞+補語
Is this your guitar?  これはあなたのギター?

疑問詞+動詞+主語
What is this?  これは何?
Where is restroom?  トイレはどこ?



<なにかを頼むとき>

動詞+目的語
Lend to me. 貸して下さい。
Draft.  生ビールを下さい。

※大抵の講師は頭に Please をつけろと言うが、相当無茶なお願いをするとき以外いらない。



<~できる>

I can~  ○○することができる
I can good performance.  私は良い演奏ができます。
Can I stay.  滞在できますか?



<自分の希望を伝える>

I want to~  ○○したい
I want to performance your club.  あなたの店で演奏がしたい。
※ I want to~ の読みは「アイ、ワナ~」でいい。

I will~  ○○する予定
September, I will go to NY.  九月にNYに行きます。



<数値をたずねる>

How much.  いくら? いくつ?
How long.  どのくらい?(所要時間などを尋ねるとき)



<その他、使うとなんとなく乗り切れてしまう言葉>

相手を褒める。
Great!
Good job!
Cool!

相槌系
Thank you.
Yes(No).
Good(No good).
Really?
What?
More speak slowly.



<無視したもの>

過去形、進行形、複数形、その他 to とか forとか面倒なもの多数。




 といった程度の習得で、オレはなんとかツアーを乗り切ることができた。たまたまかもしれないが、短い期間での学習ならばこの方法で間違いなかったと思う。

 はっきり言ってNY(外国)の人間は「接続詞があってる」とか「複数形がどうの」なんて気にしてない。用は通じればいいのだ。TOEIC受けるわけじゃない。難しい文法暗記するする時間があるなら、簡単な文法で思ったことをすぐ口にできるよう日々習慣づけたほうがいい。
 ただし、必要な名詞、動詞は予め調べておいたほうがいい。知ってる単語は多ければ多いほどいい。極論、オレは必要な単語がすぐ口に出せるのであれば、上の文法さえいらないと思っている。


身振り手振りと単語で海外は歩けるとオレは思う。