月村了衛 東京輪舞(小学館・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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何年か前に強制退会トラブルの時に、予備で登録したID。本家ブログの更新を再開しています⇒http://ameblo.jp/eigasuki/ ここでは読んだ本の忘備録を書くつもりです。書籍購入はブックオフ中心なので、新作は少ないかも?

東京輪舞 [ 月村 了衛 ]
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古本で入手してあった…2021年4月発行、月村了衛の「東京輪舞」を読了。2018年にハードカバー単行本で出たものの文庫版。現役総理大臣時代の田中角栄を襲撃者から守った警察官が主人公…後に公安へと異動となり、警察人生の多くを公安に捧げることになる。昭和、平成で起きた様々な実在事件にも深く関わっていたという…虚実入り混じった物語となっており、事件の多くに、旧ソ連・ロシアの女スパイの関与もあったというお話。主人公はロッキード事件関連の捜査をしている時に、初めてこの女スパイに接触。以降、ソ連崩壊、オウム事件、阪神淡路大震災などなど時代の節々で何度もすれ違い、時には深く交わることもあったのだが(といっても、007みたいにロマンスが生まれてしまうようなことはなく、読者はプラトニックなのを理解)…そのせいで同僚や上司から疑いの目で見られてしまうこともあり、主人公の警察人生にも影響していくと。いつの時代も金に汚く、国民を置いてきぼりにする無能な政治家への批判…正義感だけでは、とても組織、国、世界には太刀打ちできないという厳しい現実と虚しさが強く伝わってくる作品だったな。さすがにロッキードは物心がつく前だし、COCOMの時はまだ小学生だからね、歴史の一つとしてあとから得た知識だったり、そんなこともあったなぁ程度の記憶で読んでたけど…オウムの捜査がメインとなる中盤あたりからは、当時の空気感なんかも思い出しながら、よりリアリティを感じながら話にのめりこんだな。そうだよ…あの頃も、阪神淡路大震災とオウム事件が立て続けに起きてね、日本中がどんよりしてたよね。覚えてるな…ディズニーランド目当てに不法入国した金正男。そこばかり注目されちゃったけど、確かに…当時の政府が舵取りを失敗してなければ、北朝鮮との関りも、まったく別なものになっていたはずという“かもしれない”を考えずにはいられなかった。読み応えがあって面白かったんだけど…今まで自分が読んできた月村作品とはだいぶ雰囲気が異なり、想像していたタイプの作品とぜんぜん違ったな。


月村了衛 東京輪舞(小学館・文庫)